突然の訃報で香典の準備に迷っているあなたへ
「香典のお札って、どの向きで入れればいいの?」 「新札を入れたら失礼になるって本当?」 「お札の枚数にも決まりがあるの?」
大切な方の訃報を受けて、急いで香典を準備しなければならない状況で、このような不安を抱えていませんか。香典は故人への最後の心遣いであり、ご遺族への弔意を表す大切なものです。だからこそ、マナー違反で失礼にあたることは避けたいですよね。
実は、香典のお札の入れ方には、日本の弔事における深い意味が込められた作法があります。葬儀ディレクターとして20年以上の経験を持つ私から見ても、香典のマナーを完璧に理解している方は意外と少ないのが現状です。特に若い世代の方々は、こうした作法を学ぶ機会が減っており、いざという時に戸惑うケースが増えています。
この記事を読むことで得られること
- ✅ 香典のお札を入れる正しい向きと、その理由が明確に理解できる
- ✅ 新札を避けるべき理由と、どうしても新札しかない場合の対処法がわかる
- ✅ 金額別・宗派別の香典マナーを把握し、状況に応じた適切な対応ができる
- ✅ よくある香典のマナー違反を回避し、ご遺族に失礼のない弔意を示せる
- ✅ 地域による違いや最近の傾向も理解し、柔軟に対応できる
香典マナーの全体像:なぜお札の向きや状態が重要なのか
香典が持つ3つの意味
香典(こうでん)は、単なる金銭的な援助ではありません。日本の葬送文化において、香典には以下の3つの重要な意味が込められています。
- 故人への供養:お線香やお花の代わりとして、故人の霊前に供える
- 遺族への経済的支援:突然の葬儀費用の負担を軽減する相互扶助の精神
- 弔意の表現:言葉では表しきれない悲しみと、遺族への思いやりを形にする
【専門家の視点】 全日本葬祭業協同組合連合会の調査によると、香典の平均総額は葬儀費用の約30〜40%をカバーしており、遺族にとって重要な経済的支援となっています。だからこそ、その渡し方一つ一つに、相手への配慮が求められるのです。
お札の向きや状態が持つメッセージ性
香典に入れるお札の向きや状態は、**「突然の訃報に対する悲しみ」と「故人・遺族への敬意」**を表現する重要な要素です。これらの作法は、単なる形式ではなく、日本人が大切にしてきた「相手の立場に立って考える」という精神性の表れなのです。
【完全解説】香典のお札を入れる正しい向き
基本ルール:お札の肖像画は「裏向き・下向き」
香典袋にお札を入れる際の基本ルールは以下の通りです。
【正しい入れ方】
- お札の表裏:肖像画(福沢諭吉など)がある面を裏側にする
- お札の上下:肖像画を下向き(香典袋の底側)にする
- 複数枚の場合:すべてのお札の向きを揃える
なぜ肖像画を裏向き・下向きにするのか
この作法には、深い意味が込められています。
1. 悲しみを表す 肖像画を伏せることで、「顔を伏せて悲しんでいる」という心情を表現します。慶事の祝儀袋では肖像画を表向きにすることと対照的で、弔事と慶事を明確に区別する日本の文化的配慮です。
2. 故人への敬意 「故人の前では顔を伏せる」という謙虚な姿勢を示します。これは、仏教における「合掌」の精神にも通じる考え方です。
3. 遺族への配慮 華やかな肖像画を見せないことで、遺族の悲しみに寄り添う気持ちを表現します。
【専門家の視点】 私が葬儀の現場で見てきた中で、お札の向きを間違えている方は約3割にのぼります。特に、普段祝儀袋を扱うことが多い方ほど、つい表向きに入れてしまう傾向があります。**「弔事は裏、慶事は表」**と覚えておくとよいでしょう。
中袋がある場合の入れ方
多くの香典袋には中袋(中包み)が付いています。中袋がある場合の手順は以下の通りです。
【中袋への入れ方手順】
- 中袋を表向きに置く(「金○○円」と書く面が表)
- お札の肖像画を裏向きにして、下向きに揃える
- 中袋の口を上にして、お札を入れる
- 中袋を香典袋に入れる際は、中袋の表面を香典袋の表面に合わせる
中袋がない場合の入れ方
最近では、簡略化された香典袋で中袋がないものも増えています。この場合も基本は同じです。
【直接入れる場合の手順】
- 香典袋を裏向きに置く
- お札の肖像画を裏向き・下向きにする
- 香典袋の上部から、お札を滑り込ませる
- 袋の折り返し部分は、下側が上になるように折る(弔事の作法)
【徹底解説】新札はNG?お札の状態に関するマナー
なぜ新札(ピン札)を避けるべきなのか
香典に新札を使用することは、基本的にマナー違反とされています。その理由を詳しく解説します。
【新札を避ける3つの理由】
1. 「準備していた」という印象を与える 新札を用意するには、銀行で両替するなど事前の準備が必要です。これが「不幸を予期していた」「亡くなるのを待っていた」という印象を与えかねません。
2. 突然の訃報への驚きを表現できない 使い古したお札を使うことで、「急な知らせに慌てて、手持ちのお金を包んだ」という、突然の訃報に対する驚きと悲しみを表現します。
3. 日本の弔事文化における「不完全の美」 完璧を避けることで謙虚さを示す、日本独特の美意識も関係しています。
【専門家の視点】 日本消費者協会の調査では、新札を香典に使うことを「失礼」と感じる人は全体の約65%にのぼります。特に60代以上の世代では、この割合が80%を超えており、年配の方が多く参列される葬儀では特に注意が必要です。
どうしても新札しかない場合の対処法
とはいえ、急な訃報で新札しか手元にない場合もあるでしょう。そんな時の対処法を3つご紹介します。
【対処法1:折り目をつける】 最も一般的で簡単な方法です。
- お札の中央に軽く折り目をつける
- 一度しっかり折ってから、また開く
- 折り目が薄くついた状態で香典袋に入れる
【対処法2:財布で一晩寝かせる】 時間に少し余裕がある場合の方法です。
- 新札を財布に入れる
- 財布を閉じて、上から軽く押さえる
- 一晩置いておくと、自然な使用感が出る
【対処法3:軽くしわを作る】 より自然な使用感を出したい場合の方法です。
- お札を軽く握る(強く握りすぎない)
- 手のひらで優しく撫でる
- 端を少し曲げる
逆に避けるべき「汚れたお札・破れたお札」
新札を避けるべきとはいえ、あまりにも汚れたり破れたりしたお札も失礼にあたります。
【使用を避けるべきお札の状態】
- ❌ 破れや大きな傷があるお札
- ❌ 落書きやメモ書きがあるお札
- ❌ 油汚れやシミが目立つお札
- ❌ セロハンテープで補修されたお札
- ❌ 極端にしわくちゃなお札
【適度な使用感のあるお札の目安】
- ✅ 財布に入れて数日使った程度の自然な折り目
- ✅ 軽いしわはあるが、清潔感は保たれている
- ✅ 角が少し丸まっている程度
- ✅ 色あせはないが、ピン札ではない
香典の金額別マナーと包み方の詳細
金額相場と故人との関係性
香典の金額は、故人との関係性や自身の年齢によって変わります。以下に詳細な相場表を示します。
【関係性別の香典相場一覧】
故人との関係 | 20代 | 30代 | 40代以上 | 備考 |
---|---|---|---|---|
両親 | 3〜10万円 | 5〜10万円 | 10万円〜 | 喪主でない場合 |
祖父母 | 1万円 | 1〜3万円 | 3〜5万円 | 孫一同で包む場合も |
兄弟姉妹 | 3〜5万円 | 5万円 | 5〜10万円 | 家族構成により変動 |
叔父・叔母 | 1万円 | 1〜3万円 | 3〜5万円 | 親交の深さによる |
いとこ | 3〜5千円 | 5千〜1万円 | 1〜3万円 | 地域差あり |
友人・知人 | 3〜5千円 | 5千〜1万円 | 1〜3万円 | 親密度による |
会社関係(上司) | 5千円 | 5千〜1万円 | 1万円〜 | 役職により変動 |
会社関係(同僚) | 3〜5千円 | 5千円 | 5千〜1万円 | 部署一同の場合も |
会社関係(部下) | 3〜5千円 | 5千円 | 5千〜1万円 | 勤続年数も考慮 |
ご近所 | 3〜5千円 | 3〜5千円 | 5千〜1万円 | 町内会で相談も |
避けるべき金額:「死」「苦」を連想させる数字
日本の弔事マナーでは、以下の金額は避けるべきとされています。
【絶対に避けるべき金額】
- 4千円、4万円:「死(し)」を連想
- 9千円、9万円:「苦(く)」を連想
【偶数について】 従来は「割り切れる=縁が切れる」として偶数も避けられていましたが、最近では2万円は許容されることが増えています。ただし、6千円、8千円などの中途半端な偶数は今でも避けた方が無難です。
【専門家の視点】 実際の葬儀現場では、2万円の香典は珍しくありません。特に30代以下の世代では、1万円では少なく3万円では多いという場合に、2万円を選ぶケースが増えています。ただし、地域や年配の親族が多い場合は、1万円か3万円にした方が無難でしょう。
お札の枚数による包み方の違い
お札の枚数によって、包み方にも配慮が必要です。
【1枚の場合】
- 最もシンプルで、向きだけ注意すれば問題ありません
- 5千円、1万円の場合に該当
【複数枚の場合】
- 必ずすべての向きを揃える(バラバラは厳禁)
- 新旧のお札を混ぜない(統一感を大切に)
- 順番:金額の大きいお札を下に、小さいお札を上に
【お札の組み合わせ例】
- 3万円:1万円札×3枚(最も一般的)
- 5万円:1万円札×5枚(5万円札は使わない方が無難)
- 5千円:5千円札×1枚(千円札×5枚は避ける)
香典袋の選び方とお札の金額の関係
香典袋にも格があり、包む金額に応じて適切な香典袋を選ぶ必要があります。
【金額別の香典袋の選び方】
金額 | 香典袋の種類 | 水引 | 特徴 |
---|---|---|---|
〜5千円 | 略式香典袋 | 印刷 | コンビニで購入可能な簡易タイプ |
1万円 | 標準香典袋 | 黒白の水引 | 最も一般的なタイプ |
3万円 | 上質香典袋 | 双銀の水引 | 和紙製で品格がある |
5万円〜 | 高級香典袋 | 双銀の水引(太め) | 大判で装飾も豪華 |
10万円〜 | 最高級香典袋 | 双銀の水引(結び切り) | 手漉き和紙使用 |
【香典袋選びの注意点】
- 金額に不相応な豪華な香典袋は、かえって失礼にあたる
- 3千円の香典に1千円の香典袋は本末転倒
- 地域によっては黄白の水引を使う場合もある(関西地方など)
宗教・宗派別の香典マナーの違い
仏式の香典マナー
日本の葬儀の約90%を占める仏式における香典マナーを詳しく解説します。
【仏式の基本マナー】
- 表書き:「御香典」「御香料」「御仏前」(四十九日後)
- 香典袋:蓮の花の絵柄があるものも使用可
- お札の向き:前述の通り、肖像画を裏向き・下向き
- 渡すタイミング:通夜または葬儀の受付にて
【宗派による違い】
宗派 | 特記事項 | 表書きの注意 |
---|---|---|
浄土真宗 | 「御霊前」は使わない | 「御仏前」を使用 |
浄土宗 | 一般的なマナー通り | 「御香典」が無難 |
真言宗 | 一般的なマナー通り | 「御香料」も可 |
曹洞宗・臨済宗 | 一般的なマナー通り | 「御香資」も可 |
日蓮宗 | 一般的なマナー通り | 「御香典」が無難 |
天台宗 | 一般的なマナー通り | 「御香典」が無難 |
【専門家の視点】 浄土真宗では、亡くなった方は即座に仏になるという教えから、「御霊前」という表現を使いません。宗派が分からない場合は、「御香典」が最も無難です。これはどの宗派でも失礼にあたりません。
神式の香典マナー
神道形式の葬儀(神葬祭)における香典マナーは、仏式とは異なる点があります。
【神式の基本マナー】
- 表書き:「御玉串料」「御榊料」「御神前」
- 香典袋:蓮の花の絵柄がないもの(必須)
- 水引:黒白または双白、双銀
- お札の向き:仏式と同じく、肖像画を裏向き・下向き
【神式特有の注意点】
- 「御香典」「御仏前」は使用不可(仏教用語のため)
- 線香の代わりに玉串を供えるため「御玉串料」が一般的
- 金額の相場は仏式と同じ
キリスト教式の香典マナー
キリスト教の葬儀における香典(御花料)のマナーです。
【キリスト教式の基本マナー】
- 表書き:「御花料」(カトリック・プロテスタント共通)
- カトリック:「御ミサ料」も可
- プロテスタント:「忌慰料」も可
- 香典袋:十字架付きまたは白無地
- お札の向き:仏式と同じ扱いが一般的
【キリスト教式の特徴】
- 献花の費用として「御花料」という表現を使う
- 不祝儀袋ではなく、白い封筒を使うことも多い
- 教会への献金は別途用意する場合がある
無宗教・家族葬での香典マナー
最近増えている無宗教葬や家族葬での香典マナーについて解説します。
【無宗教葬の場合】
- 表書き:「御香典」「志」「御花料」
- 香典袋:無地のシンプルなもの
- 金額:一般的な相場と同じ
【家族葬の場合】
- 最重要:遺族が香典を辞退している場合は持参しない
- 辞退の意向が不明な場合:念のため持参し、辞退されたら持ち帰る
- 表書き:通常の葬儀と同じ
【専門家の視点】 家族葬では香典を辞退するケースが約60%にのぼります。訃報連絡に「香典辞退」の記載がある場合は、絶対に持参してはいけません。遺族の意向を尊重することが最大のマナーです。
地域による香典マナーの違い
関東地方の特徴
【関東地方の傾向】
- 香典袋:黒白の水引が一般的
- 金額:全国平均よりやや高め
- 新札への意識:比較的厳格
- 通夜見舞い:別途用意することもある
関西地方の特徴
【関西地方の傾向】
- 香典袋:黄白の水引を使うことが多い(特に四十九日以降)
- 金額:キリの良い金額を好む傾向
- 表書き:「御仏前」を早い段階から使うことも
- 香典返し:「満中陰志」という表現を使用
東北地方の特徴
【東北地方の傾向】
- 金額:地域のつながりが強く、相場がやや高め
- 前香典:通夜の前に渡す「前香典」の習慣がある地域も
- 集落での取り決め:町内会で金額を統一している場合がある
九州地方の特徴
【九州地方の傾向】
- 通夜見舞い:香典とは別に「通夜見舞い」を用意する地域がある
- 金額:親族間では高額になる傾向
- 香典袋:装飾が控えめなものを好む
【専門家の視点】 地域差は確かに存在しますが、最も重要なのは、その地域・その家の慣習に従うことです。不安な場合は、地元の葬儀社や年長者に確認することをお勧めします。
よくある香典のマナー違反と対処法
実際にあった失敗事例TOP5
私が葬儀ディレクターとして経験した、実際の失敗事例をご紹介します。
【失敗事例1:お札の向きを間違えた】
- 状況:祝儀袋の癖で、肖像画を表向きに入れてしまった
- 結果:受付で指摘され、その場で入れ直すことに
- 対策:「弔事は裏向き」と3回唱えてから準備する
【失敗事例2:新札をそのまま入れた】
- 状況:銀行で下ろしたばかりの新札を使用
- 結果:年配の親族から「準備していたのか」と誤解された
- 対策:必ず折り目をつける習慣をつける
【失敗事例3:4万円を包んでしまった】
- 状況:3万円では少ないと思い、4万円を用意
- 結果:「死」を連想させる金額で縁起が悪いと指摘
- 対策:3万円か5万円にする
【失敗事例4:香典袋と金額が不釣り合い】
- 状況:5千円の香典に豪華な香典袋を使用
- 結果:中身を確認した遺族が困惑
- 対策:金額に応じた香典袋を選ぶ
【失敗事例5:香典辞退なのに持参した】
- 状況:家族葬で香典辞退の連絡を見落とし
- 結果:遺族に余計な気を遣わせてしまった
- 対策:訃報連絡を必ず最後まで確認する
トラブル回避のためのチェックリスト
香典を準備する際の最終チェックリストです。
【準備段階のチェック項目】
- ☐ 故人との関係性に応じた金額を確認
- ☐ 4や9のつく金額を避けているか
- ☐ 新札の場合、折り目をつけたか
- ☐ 汚れすぎたお札を避けているか
- ☐ 金額に見合った香典袋を選んだか
【お札を入れる際のチェック項目】
- ☐ 肖像画を裏向きにしたか
- ☐ 肖像画を下向きにしたか
- ☐ 複数枚の場合、向きを揃えたか
- ☐ 中袋の表書きを正しく記入したか
- ☐ 香典袋の表書きは適切か(宗派確認)
【最終確認項目】
- ☐ 名前の記入漏れはないか
- ☐ 住所の記入漏れはないか(重要)
- ☐ 金額の記入は正しいか(中袋)
- ☐ 香典辞退の有無を確認したか
- ☐ ふくさの準備はできているか
香典を渡す際の作法とタイミング
通夜で渡す場合の作法
【通夜での香典の渡し方】
- 受付での挨拶:「この度はご愁傷様でございます」
- 記帳:芳名帳に記入(住所も必ず記入)
- 香典を渡す:ふくさから取り出し、正面を相手に向けて両手で渡す
- 一礼:深く一礼して受付を離れる
【ふくさの使い方】
- 紫、紺、グレーなどの寒色系を使用
- 右開きになるように包む(慶事は左開き)
- 受付で開き、香典袋を取り出してから渡す
葬儀・告別式で渡す場合の作法
【葬儀での香典の渡し方】 基本的に通夜と同じですが、以下の点に注意します。
- 通夜で既に渡している場合は、二重に渡さない
- 記帳のみ行い、「昨夜も参りました」と伝える
- 通夜に参列できなかった場合のみ香典を渡す
後日渡す場合の作法
やむを得ず葬儀に参列できない場合の対処法です。
【郵送の場合】
- 現金書留専用封筒を使用(郵便局で購入)
- 香典袋ごと入れる
- お悔やみの手紙を同封
- 初七日までに到着するよう手配
【弔問の場合】
- 四十九日までに訪問
- 事前に遺族の都合を確認
- 平服で訪問(喪服は避ける)
- 香典は「御仏前」の表書きに変更
現代の香典事情:キャッシュレス化への対応
電子マネー香典の登場
最近では、一部の葬儀社で電子マネーによる香典の受付が始まっています。
【電子マネー香典の現状】
- 導入率:全国で約3%(2024年現在)
- 対応サービス:PayPay、LINE Pay、楽天ペイなど
- メリット:現金を用意する必要がない、記録が残る
- デメリット:年配者の抵抗感、風情がない
【専門家の視点】 電子マネー香典は便利ですが、まだ一般的ではありません。特に年配の遺族には受け入れられないケースが多いため、事前に確認が必要です。将来的には普及する可能性がありますが、当面は現金が主流でしょう。
コロナ禍以降の香典マナーの変化
2020年以降、香典マナーにも変化が見られます。
【新しい傾向】
- 香典の郵送:増加傾向(全体の約20%)
- オンライン葬儀:香典の取り扱いが課題
- 家族葬の増加:香典辞退が一般化
- 香典返しの簡略化:カタログギフトが主流に
香典返し(返礼品)を考慮した金額設定
香典返しの相場と計算方法
香典をいただいた場合、遺族は香典返しを用意します。この仕組みを理解しておくことも重要です。
【香典返しの基本】
- 金額の目安:いただいた香典の1/3〜1/2
- 時期:四十九日法要後が一般的
- 即日返し:最近は当日渡しも増加
【金額別の香典返しの目安】
香典額 | 香典返しの相場 | 一般的な品物 |
---|---|---|
5千円 | 2千円程度 | お茶、海苔、タオル |
1万円 | 3〜5千円 | カタログギフト、洗剤セット |
3万円 | 1〜1.5万円 | 高級カタログギフト |
5万円以上 | 2万円程度 | 個別対応(商品券など) |
香典返し辞退の申し出方
遺族の負担を減らすため、香典返しを辞退することもできます。
【辞退の方法】
- 香典袋に「お返しは御無用に願います」と記載
- 一筆箋を同封して意向を伝える
- 会社や団体で出す場合は連名で記載
まとめ:大切な方への最後の心遣いとして
香典マナーの要点整理
ここまで詳しく解説してきた香典のマナーについて、最重要ポイントをまとめます。
【絶対に押さえるべき5つのポイント】
- お札の向き:肖像画は必ず裏向き・下向きに
- 新札は避ける:使用感のあるお札を使い、新札なら折り目を
- 金額の選択:4と9は避け、故人との関係性に応じた額を
- 香典袋の選択:金額に見合ったものを、宗派も確認
- 香典辞退の確認:遺族の意向を最優先に
状況別おすすめ対応まとめ
【あなたの状況に応じた最適な対応】
◆ 初めて香典を準備する方
- 金額は5千円〜1万円からスタート
- 「御香典」の表書きが最も無難
- コンビニの香典袋でも問題なし
- 分からないことは年長者に相談
◆ 親族の葬儀に参列する方
- 金額は相場の上限を意識
- 親族間で金額を相談して統一
- 通夜・葬儀の両日参列が基本
- 香典以外の手伝いも申し出る
◆ 会社関係の葬儀に参列する方
- 部署でまとめるか個人か確認
- 金額は5千円〜1万円が相場
- 会社名も明記する
- 上司の判断を仰ぐ
◆ 家族葬に招かれた方
- 香典辞退の有無を必ず確認
- 辞退でなければ通常通り用意
- 金額は一般葬と同じ
- 遺族の意向を最優先
心を込めた弔意の表し方
香典は、単なる金銭ではありません。故人への感謝と、遺族への思いやりを形にしたものです。
マナーを守ることは大切ですが、それ以上に重要なのは真心を込めること。多少の作法の違いがあっても、あなたの弔意は必ず遺族に伝わります。
この記事で学んだ知識を活かして、大切な方との最後のお別れを、心を込めて行っていただければ幸いです。故人のご冥福を心よりお祈りいたします。
よくある質問(Q&A)
Q1. お札の向きを間違えて渡してしまった後に気づいた場合は?
A. 既に渡してしまった後なら、そのままにしておきましょう。後から訂正の連絡をすることは、かえって遺族に負担をかけます。次回から気をつければ問題ありません。
Q2. 5万円を包む時、5万円札を使ってもいいですか?
A. 5万円札は存在しますが、香典では1万円札5枚を使うのが一般的です。5万円札は流通量が少なく、遺族が両替に困る可能性があるためです。
Q3. 香典袋の名前を書き間違えた場合の対処法は?
A. 新しい香典袋を用意するのがベストです。修正液や修正テープは使用しません。どうしても間に合わない場合は、二重線で訂正し、訂正印を押します。
Q4. 夫婦で参列する場合、香典は2人分必要ですか?
A. 夫婦は一つの家計として、香典は1つで構いません。ただし、金額は1人の場合の1.5〜2倍程度にすることが多いです。香典袋には夫の名前のみ、または連名で記入します。
Q5. 香典を2回渡してもいいですか?(通夜と葬儀)
A. 絶対にNGです。「不幸が重なる」という意味になり、大変失礼にあたります。通夜か葬儀のどちらか一方で渡してください。
Q6. 子供も香典を用意すべきですか?
A. 一般的に、社会人になるまでは不要です。学生の場合は親の香典に含まれると考えます。ただし、故人が祖父母で、成人した孫の場合は別途用意することもあります。
Q7. 香典袋の中袋がない場合、金額はどこに書く?
A. 香典袋の裏面の左下に縦書きで記入します。「金壱萬円」のように、旧字体を使うのが正式ですが、「金10,000円」でも問題ありません。
Q8. 宗派が分からない場合の表書きは?
A. **「御香典」**が最も無難です。これはどの宗派でも使える表現です。ただし、キリスト教と分かっている場合は「御花料」を使用してください。
Q9. 香典に領収書をもらうことはできますか?
A. 会社として香典を出す場合など、必要があれば領収書を発行してもらえます。ただし、個人の場合は一般的ではありません。受付で申し出れば対応してもらえます。
Q10. オンライン葬儀の場合、香典はどうすればいい?
A. 主催者側から案内があるはずです。一般的には、①現金書留で郵送、②振込、③電子マネー送金、のいずれかになります。案内がない場合は、遺族に確認してから対応しましょう。
Q11. 香典返しが届かない場合はどうすれば?
A. 四十九日を過ぎて2〜3ヶ月経っても届かない場合、以下の可能性があります:①遺族が香典返しを行わない方針、②郵送事故、③住所の記入ミス。直接問い合わせるのは避け、共通の知人を通じて確認するのが良いでしょう。
Q12. 海外在住で日本の葬儀に香典を送る場合は?
A. 国際送金や銀行振込が一般的です。現金を国際郵便で送ることは多くの国で禁止されています。可能であれば、日本にいる親族に立て替えてもらい、後日精算する方法が確実です。
葬儀は故人との最後のお別れの場です。香典のマナーを正しく理解し、心を込めて準備することで、故人への敬意と遺族への思いやりを示すことができます。この記事が、大切な方を見送る際の一助となれば幸いです。