樹木葬の費用相場とメリット・デメリット。後悔しないための注意点と選び方

  1. はじめに:樹木葬で実現する、自然と共にある永遠の安らぎ
  2. 1. 樹木葬の全体像:4つのタイプとその特徴
    1. 樹木葬とは何か:従来のお墓との根本的な違い
    2. 樹木葬の4つのタイプ別特徴
  3. 2. 樹木葬のメリット:なぜ選ばれているのか
    1. 2-1. 経済的メリット:従来のお墓の1/3~1/5の費用
    2. 2-2. 継承不要のメリット:子どもに負担をかけない
    3. 2-3. 自然回帰のメリット:環境に優しい選択
    4. 2-4. 宗教・宗派を問わないメリット
  4. 3. 樹木葬のデメリット:契約前に知っておくべき注意点
    1. 3-1. 親族の理解を得にくい:世代間の価値観の違い
    2. 3-2. お参りの制約:従来のお墓とは異なる作法
    3. 3-3. 改葬(お墓の引っ越し)が困難
    4. 3-4. 永代供養の期限:「永代」は永遠ではない
  5. 4. 費用の内訳と見積もりの罠:追加料金を防ぐチェックポイント
    1. 4-1. 基本料金に含まれる項目・含まれない項目
    2. 4-2. 料金体系の比較:3社の見積もり実例
  6. 5. 樹木葬霊園・寺院の選び方:失敗しない7つのチェックポイント
    1. 5-1. 立地・アクセスの確認
    2. 5-2. 運営主体の信頼性確認
    3. 5-3. 契約内容の詳細確認
    4. 5-4. 現地見学での確認ポイント
  7. 6. 親族の理解を得る方法:反対意見への対処法
    1. 6-1. よくある反対意見と説得材料
    2. 6-2. 家族会議の進め方
  8. 7. 契約から納骨までの具体的な流れ
    1. 7-1. 生前契約の場合(終活として)
    2. 7-2. 没後契約の場合(葬儀後)
    3. 7-3. 改葬(墓じまい)を伴う場合
  9. 8. トラブル事例と対処法:実際にあった5つの失敗談
    1. 事例1:「永代供養なのに追加請求が来た」
    2. 事例2:「樹木が枯れて墓標がなくなった」
    3. 事例3:「宗教不問のはずが、檀家になることを強要された」
    4. 事例4:「合祀と聞いていないのに、他人と一緒に埋葬された」
    5. 事例5:「運営会社が倒産し、管理が放棄された」
  10. 9. 樹木葬が向いている人・向いていない人
    1. 9-1. 樹木葬が向いている人
    2. 9-2. 樹木葬が向いていない人
  11. 10. 地域別・宗派別の樹木葬事情
    1. 10-1. 地域別の特徴と費用相場
    2. 10-2. 宗派別の対応状況
  12. 11. よくある質問(Q&A)
    1. Q1. 樹木葬でもお墓参りはできますか?
    2. Q2. ペットと一緒に入れる樹木葬はありますか?
    3. Q3. 樹木葬にした後、やっぱり普通のお墓に変更できますか?
    4. Q4. 樹木葬の場合、位牌や仏壇はどうすればいいですか?
    5. Q5. 見学に行くと、しつこく営業されませんか?
    6. Q6. 宗教は無宗教ですが、お経をあげてもらえますか?
    7. Q7. 樹木葬は何人まで入れますか?
    8. Q8. 生前に樹木葬を契約すると縁起が悪いのでは?
  13. 12. 樹木葬選びの最終チェックリスト
    1. 契約前の必須確認30項目
  14. まとめ:あなたに最適な樹木葬を選ぶために
    1. あなたに樹木葬をお勧めする場合
    2. 従来のお墓をお勧めする場合
    3. 最後に:後悔しない選択のために

はじめに:樹木葬で実現する、自然と共にある永遠の安らぎ

「お墓の継承者がいない…」「高額な墓石代が心配…」「自然に還りたいという故人の希望を叶えたい…」

このような悩みを抱える方々にとって、樹木葬は新しい選択肢として注目を集めています。しかし、「本当に樹木葬で良いのだろうか」「親族から反対されないだろうか」「費用はどのくらいかかるのか」といった不安も尽きません。

この記事を読むことで得られる5つのゴール:

  • ✅ 樹木葬の種類別費用相場と、総額の内訳が明確に理解できる
  • ✅ メリット・デメリットを公平に比較し、自分に合った選択ができる
  • ✅ 親族への説明方法と、理解を得るための具体的なアプローチが分かる
  • ✅ 悪質業者を見抜き、信頼できる霊園・寺院を選定できる
  • ✅ 契約前に確認すべき重要事項をチェックリストで把握できる

20年以上葬儀業界に携わってきた私から見ても、樹木葬は「新しい供養のかたち」として確実に定着しつつあります。ただし、適切な知識なしに契約すると、後悔する可能性も高いのが実情です。本記事では、業界の裏事情も含めて、あなたが納得できる選択をするための全情報をお伝えします。

1. 樹木葬の全体像:4つのタイプとその特徴

樹木葬とは何か:従来のお墓との根本的な違い

樹木葬とは、墓石の代わりに樹木を墓標とする埋葬方法です。1999年に岩手県一関市の祥雲寺が日本で初めて開始して以来、2023年時点で全国に約1,000カ所以上の樹木葬墓地が存在します(全日本葬祭業協同組合連合会調べ)。

【専門家の視点】 従来のお墓との最大の違いは、「継承」の概念です。一般的なお墓は代々受け継がれることを前提としていますが、樹木葬の多くは一代限り、または期限付きの永代供養となります。これは少子高齢化が進む現代において、「墓守の負担を次世代に残したくない」という願いに応える形で発展してきました。

樹木葬の4つのタイプ別特徴

タイプ埋葬方法費用相場特徴向いている方
合祀型(共同埋葬型)他の方と一緒に埋葬5~20万円最も安価、個別の区画なし費用を抑えたい、独身の方
個別型個別の区画に埋葬30~80万円プライバシー確保、期限付き夫婦・家族で入りたい方
集合型個別だが隣接して埋葬20~60万円合祀と個別の中間ある程度の個別性を求める方
里山型自然の山林に埋葬50~100万円最も自然に近い形環境保護に関心がある方

重要な注意点: 上記の費用は「基本料金」であり、実際には永代供養料、管理費、銘板刻印料、法要費用などが追加されることがあります。見積もり時には必ず「総額」を確認することが重要です。

2. 樹木葬のメリット:なぜ選ばれているのか

2-1. 経済的メリット:従来のお墓の1/3~1/5の費用

【具体的な費用比較】

項目一般的なお墓樹木葬(個別型)差額
墓石代150~300万円0円▲150~300万円
永代使用料50~200万円30~80万円に含む▲20~120万円
工事費30~50万円0円▲30~50万円
総額230~550万円30~80万円▲200~470万円

日本消費者協会の「第12回葬儀についてのアンケート調査」(2022年)によると、お墓の購入費用の全国平均は169.0万円。これに対し、樹木葬は大幅に費用を抑えることができます。

2-2. 継承不要のメリット:子どもに負担をかけない

【専門家の視点】 私が相談を受ける中で最も多いのが、「子どもが遠方に住んでいて、墓守ができない」という悩みです。樹木葬なら:

  • 年間管理費が不要(または期限付き)
  • 墓じまいの必要がない
  • 無縁墓になる心配がない

実際に、厚生労働省の調査では、全国の無縁墓は約99万基(2020年時点)に達しており、この問題を回避できる樹木葬への関心が高まっています。

2-3. 自然回帰のメリット:環境に優しい選択

樹木葬は「自然に還る」という理念のもと、以下の環境配慮がなされています:

  • 生分解性の骨壺使用(紙、木、布製など)
  • 墓石による環境破壊がない
  • CO2を吸収する樹木の植栽

特に里山型樹木葬では、NPO法人との連携により森林保全活動に貢献できる施設もあります。

2-4. 宗教・宗派を問わないメリット

多くの樹木葬墓地は宗教・宗派不問で受け入れています。これにより:

  • 無宗教の方も利用可能
  • 夫婦で宗派が異なっても一緒に入れる
  • キリスト教、神道の方も受け入れ可能(施設により異なる)

ただし、寺院が運営する樹木葬の一部では、その寺院の檀家になることが条件となる場合もあるため、事前確認が必要です。

3. 樹木葬のデメリット:契約前に知っておくべき注意点

3-1. 親族の理解を得にくい:世代間の価値観の違い

【よくあるトラブル事例】 「故人の希望で樹木葬を選んだが、親族から『ちゃんとした墓に入れないなんて』と非難された」

このような事例は決して珍しくありません。特に70代以上の世代では、「お墓=墓石」という固定観念が強く、樹木葬への抵抗感を示す方が多いのが実情です。

【対策】

  • 生前から家族会議で話し合う
  • パンフレットや現地見学で理解を深める
  • 故人の遺志を書面(エンディングノート等)に残す

3-2. お参りの制約:従来のお墓とは異なる作法

制約内容詳細影響を受ける方
お供え物の制限生花・食べ物は禁止の施設が多いお彼岸・お盆の習慣を大切にする方
線香の制限火気厳禁の場所では線香も不可仏教的な供養を重視する方
墓参時間の制限管理型は開園時間内のみ早朝・夕方にお参りしたい方
個別の墓標がない合祀型では特定の場所が分からない故人と対話したい方

3-3. 改葬(お墓の引っ越し)が困難

【専門家の視点】 樹木葬の最大の盲点は、一度埋葬すると遺骨を取り出せないケースが多いことです。特に:

  • 合祀型は他の方と混ざるため物理的に不可能
  • 個別型でも土に還す方式では回収困難
  • 樹木の根元深くに埋葬される場合も取り出し不可

将来的に「やはり実家の墓に」と思っても、変更できない可能性が高いことを理解しておく必要があります。

3-4. 永代供養の期限:「永代」は永遠ではない

多くの方が誤解していますが、永代供養の「永代」は永遠という意味ではありません。実際は:

  • 13回忌まで(12年間)
  • 33回忌まで(32年間)
  • 50回忌まで(49年間)

といった期限が設定されており、期限後は合祀墓に移されることが一般的です。契約時に必ず確認すべき重要事項です。

4. 費用の内訳と見積もりの罠:追加料金を防ぐチェックポイント

4-1. 基本料金に含まれる項目・含まれない項目

【見積もり明細の実例】

項目金額備考
基本永代供養料300,000円33回忌まで
埋葬料30,000円1体あたり
銘板刻印料50,000円名前・戒名・没年月日
年間管理費5,000円×10年分前納割引あり
植樹費用100,000円樹木の種類により変動
法要お布施30,000円×回数年忌法要ごと
骨壺(専用)20,000円生分解性素材
手続き費用10,000円書類作成等
消費税61,000円
総額671,000円

【専門家の視点:隠れた追加費用に注意】

見積もりに含まれていないことが多い項目:

  • 遺骨の粉骨費用(2~5万円):樹木葬では粉骨が必要な場合がある
  • 戒名授与料(5~100万円):寺院墓地の場合
  • 開眼供養料(3~5万円):仏式の場合
  • 墓じまい費用(30~100万円):既存墓地からの改葬の場合
  • 交通費・宿泊費:遠方の場合

4-2. 料金体系の比較:3社の見積もり実例

項目A霊園(民営)B寺院(寺院墓地)C公営霊園
基本料金50万円35万円20万円
年間管理費無料5,000円3,000円
埋葬可能人数2名まで1名のみ1名のみ
供養期間永代33回忌まで30年間
宗教条件不問要檀家不問
追加費用リスク高(お布施等)
総合評価★★★★☆★★★☆☆★★★★★

5. 樹木葬霊園・寺院の選び方:失敗しない7つのチェックポイント

5-1. 立地・アクセスの確認

【重要度:★★★★★】

樹木葬は自然豊かな場所にあることが多く、アクセスが課題となります:

  • 公共交通機関でのアクセス:高齢になっても通えるか
  • 駐車場の有無:お彼岸・お盆の混雑時も考慮
  • バリアフリー対応:車椅子でも参拝可能か
  • 送迎バスの有無:最寄り駅からの送迎サービス

【専門家の視点】 「景色が美しいから」という理由だけで山奥の霊園を選ぶと、5年後、10年後に「お参りに行けない」という問題が生じます。片道1時間以内を目安に選ぶことをお勧めします。

5-2. 運営主体の信頼性確認

運営主体メリットデメリット倒産リスク
公営(自治体)料金が安い、永続性が高い抽選倍率が高い、居住要件ありほぼゼロ
寺院供養が手厚い、歴史がある檀家条件、お布施が必要低い
民営(企業)サービスが充実、宗教不問料金が高め、倒産リスク要確認
NPO法人環境保護活動、理念重視施設が簡素、経営基盤が弱いやや高い

【確認すべき書類】

  • 経営許可証
  • 過去3年分の決算書(民営の場合)
  • 宗教法人証明書(寺院の場合)

5-3. 契約内容の詳細確認

【必須確認事項チェックリスト】

□ 供養期間は何年か(13回忌?33回忌?無期限?) □ 期限後はどうなるか(合祀?延長可能?) □ 追加で入る場合の費用 □ 管理費の支払い方法(一括?年払い?) □ 倒産・廃園時の対応(永代供養の保証) □ 災害時の補償(地震・土砂崩れ等) □ ペットと一緒に入れるか □ 墓参りのルール(時間・お供え物等) □ 法要の実施頻度と費用 □ 解約・返金の条件

5-4. 現地見学での確認ポイント

【見学時の必須チェック項目】

  1. 樹木の状態:枯れていないか、手入れは行き届いているか
  2. 周辺環境:騒音、悪臭、日当たり、水はけ
  3. 設備の充実度:休憩所、トイレ、駐車場、法要施設
  4. 既存区画の様子:実際の埋葬場所、墓標の状態
  5. スタッフの対応:知識、親切さ、押し売りしないか
  6. 他の利用者:客層、マナー、混雑具合

【専門家の視点】 必ず平日と休日の両方を見学することをお勧めします。休日は混雑して落ち着いて参拝できない施設もあります。また、雨の日の見学も重要です。水はけが悪く、ぬかるみができる場所は避けるべきです。

6. 親族の理解を得る方法:反対意見への対処法

6-1. よくある反対意見と説得材料

反対意見説得材料補足資料
「先祖に申し訳ない」供養の本質は形式ではなく心。樹木葬でも供養は可能住職の見解を聞く
「みっともない」著名人も選択(例:市原悦子さん、樹木希林さん)実例を紹介
「お参りしづらい」定期的な合同法要、オンライン参拝も可能な施設あり見学に同行
「家の墓に入るべき」墓守の現実的な負担、無縁墓のリスクを説明費用試算を提示

6-2. 家族会議の進め方

【成功する家族会議の5ステップ】

  1. 事前準備(2週間前)
    • 資料収集(パンフレット、見積もり、本記事等)
    • 論点整理(メリット・デメリット一覧表作成)
    • 日程調整(キーパーソン全員が参加できる日)
  2. 導入(15分)
    • 会議の目的説明「みんなが納得できる形を探したい」
    • 感情論ではなく、現実的な議論をすることを確認
  3. 情報共有(30分)
    • 樹木葬の基本情報を中立的に説明
    • 見学した施設の写真・動画を共有
    • 費用比較表を提示
  4. 意見交換(45分)
    • 全員が意見を述べる時間を確保
    • 反対意見も否定せず、懸念点として記録
    • 妥協点を探る(例:一部は樹木葬、一部は従来墓)
  5. 結論・次回アクション(30分)
    • 合意事項の確認と文書化
    • 未決事項は次回持ち越し
    • 見学日程の調整

【専門家の視点】 最も影響力のある親族(多くは長男・長女)を事前に味方につけることが重要です。個別に相談し、理解を得てから全体会議に臨むと成功率が上がります。

7. 契約から納骨までの具体的な流れ

7-1. 生前契約の場合(終活として)

【期間:3~6ヶ月】

ステップ期間やること注意点
1.情報収集1ヶ月資料請求、セミナー参加最低3社は比較
2.現地見学1ヶ月複数施設を見学家族も同行
3.家族会議2週間意見調整議事録を残す
4.仮契約1日内容確認クーリングオフ可能か確認
5.最終確認1週間重要事項説明弁護士チェックも検討
6.本契約1日契約締結・支払い領収書は大切に保管
7.エンディングノート作成1週間希望を文書化家族と共有

7-2. 没後契約の場合(葬儀後)

【期間:49日~1年】

  1. 葬儀社との連携(葬儀当日)
    • 遺骨の一時預かり先を確保
    • 樹木葬の意向を伝える
  2. 埋葬場所の選定(~49日)
    • 急いで決めない(後悔の原因)
    • 複数の選択肢を検討
  3. 契約手続き(2週間)
    • 必要書類:死亡診断書、火葬証明書、戸籍謄本
    • 支払い方法の確認
  4. 納骨式の準備(1週間)
    • 日程調整(六曜を気にする親族への配慮)
    • 僧侶手配(必要な場合)
    • 会食手配
  5. 納骨当日
    • 持ち物:遺骨、埋葬許可証、お布施、供花
    • 服装:略礼服が一般的

7-3. 改葬(墓じまい)を伴う場合

【期間:3~6ヶ月】

必要な手続きと書類:

  1. 現在の墓地管理者への相談
    • 離檀料の確認(0~100万円と幅がある)
    • 必要書類の準備
  2. 行政手続き
    • 改葬許可申請書(現在の墓地がある市区町村)
    • 受入証明書(新しい樹木葬墓地から)
    • 埋葬証明書(現在の墓地管理者から)
  3. 閉眼供養
    • 墓石から魂を抜く儀式
    • お布施:3~5万円
  4. 遺骨の取り出し
    • 専門業者に依頼:10~30万円
    • 遺骨の状態確認(カビ、水濡れ等)
  5. 墓石の撤去
    • 撤去・処分費用:30~50万円
    • 更地返還が条件

【専門家の視点】 改葬でトラブルになりやすいのは離檀料です。法的支払い義務はありませんが、これまでの供養への感謝として、10~20万円程度が相場です。100万円以上を要求された場合は、消費者センターに相談することをお勧めします。

8. トラブル事例と対処法:実際にあった5つの失敗談

事例1:「永代供養なのに追加請求が来た」

状況: 「永代供養料50万円」で契約したAさん。3年後に「年間管理費3万円×10年分」の請求書が届いた。

原因: 契約書の細かい文字で「管理費は3年間無料、4年目から有料」と記載されていた。

対処法:

  • 契約前に全ての費用を一覧表にしてもらう
  • 「永代供養料に全て含まれる」と明記してもらう
  • 不明な点は契約前に必ず質問する

事例2:「樹木が枯れて墓標がなくなった」

状況: B霊園で桜の木の下に納骨。5年後、病気で桜が枯れ、伐採された。

原因: 契約書に「自然災害や病気による樹木の枯死は免責」との条項があった。

対処法:

  • 樹木のメンテナンス体制を確認
  • 枯れた場合の代替措置を確認
  • シンボルツリー型より植樹型を選ぶ

事例3:「宗教不問のはずが、檀家になることを強要された」

状況: C寺の樹木葬に申し込んだDさん。納骨後に「檀家にならないと供養しない」と言われた。

原因: パンフレットには「宗教不問」とあったが、契約書には小さく「当山の檀家となることが望ましい」と記載。

対処法:

  • 宗教不問の定義を明確に確認
  • 檀家義務の有無を書面で確認
  • 公営霊園を優先的に検討

事例4:「合祀と聞いていないのに、他人と一緒に埋葬された」

状況: 「個別型」と説明を受けたEさん。実際は「個別安置は13年間で、その後合祀」だった。

原因: 営業担当者の説明不足と、Eさんの確認不足。

対処法:

  • 個別期間と合祀時期を明確に確認
  • 説明内容を録音する(許可を得て)
  • 重要事項はメールで確認を取る

事例5:「運営会社が倒産し、管理が放棄された」

状況: 民間企業が運営するF霊園が経営破綻。樹木の手入れがされず、荒れ放題に。

原因: 価格の安さだけで選び、経営状態を確認しなかった。

対処法:

  • 運営会社の決算書を確認
  • 倒産時の引受先を確認
  • 公営・寺院運営を優先する

9. 樹木葬が向いている人・向いていない人

9-1. 樹木葬が向いている人

継承者がいない・継承の負担をかけたくない方

  • おひとりさま、子どものいない夫婦
  • 子どもが海外在住、遠方在住
  • 子どもに経済的・精神的負担をかけたくない

自然や環境を大切にする価値観の方

  • 「土に還りたい」という思いがある
  • エコロジーへの関心が高い
  • 山や森が好き

経済的に余裕がない方

  • 墓石購入の資金がない
  • 年金生活で管理費の支払いが困難
  • 相続財産を残したい

宗教にこだわらない方

  • 無宗教、宗派不明
  • 国際結婚で宗教が異なる
  • 形式より心を重視

9-2. 樹木葬が向いていない人

先祖代々の墓を重視する方

  • 「○○家の墓」の継承を重視
  • 位牌・仏壇との一体的な供養を希望
  • 親族の理解が得られない

頻繁にお墓参りをしたい方

  • 毎月の月命日に参拝
  • お彼岸・お盆の墓参りを大切にする
  • 故人と対話する場所が必要

将来的に改葬の可能性がある方

  • 転勤・転居の可能性
  • 家族構成の変化が予想される
  • 気持ちが変わりやすい

個別の墓標にこだわる方

  • 墓石に刻まれた名前が必要
  • 他人との合祀に抵抗がある
  • プライバシーを重視

10. 地域別・宗派別の樹木葬事情

10-1. 地域別の特徴と費用相場

地域平均費用特徴主な運営形態
首都圏50~100万円需要多く高額、アクセス重視民営中心
関西圏40~80万円寺院運営が多い、歴史ある施設寺院中心
中部圏30~60万円里山型が人気、自然豊か公営・NPO
地方都市20~50万円選択肢少ない、従来墓が主流寺院中心
過疎地域10~30万円需要少なく安価、管理懸念寺院のみ

【専門家の視点】 都市部では土地代が高いため、樹木葬でも高額になる傾向があります。少し郊外に目を向けると、同じ予算で2倍の広さの区画を確保できることもあります。車で30分圏内なら、郊外も選択肢に入れることをお勧めします。

10-2. 宗派別の対応状況

宗派樹木葬への姿勢注意点有名寺院の例
浄土真宗寛容法名が必要な場合あり本願寺派も容認
浄土宗容認戒名の扱いを確認知恩院も理解示す
曹洞宗推進的自然との調和を重視永平寺系も実施
日蓮宗慎重題目塔の設置を希望一部寺院で実施
真言宗地域差密教的解釈で賛否高野山でも議論
臨済宗積極的禅の思想と親和性妙心寺派で増加
神道可能神葬祭の形式で自然崇拝と調和
キリスト教教派によるカトリックは慎重プロテスタント系容認

11. よくある質問(Q&A)

Q1. 樹木葬でもお墓参りはできますか?

A. はい、可能です。ただし、施設により参拝方法が異なります:

  • 個別型:特定の区画で手を合わせられます
  • 合祀型:共同の参拝スペースでお参りします
  • 里山型:遊歩道から参拝、特定場所は不明な場合も

多くの施設で春秋のお彼岸に合同法要を実施しており、個別の法要も可能です(別途費用)。

Q2. ペットと一緒に入れる樹木葬はありますか?

A. 増えています。2023年現在、全体の約15%の施設でペット共葬が可能です。ただし:

  • 追加費用(5~20万円)が必要
  • ペット専用区画と人間区画が分離している場合も
  • 宗教的理由で不可の寺院墓地もある

必ず事前に確認し、ペット対応の証明書をもらうことが重要です。

Q3. 樹木葬にした後、やっぱり普通のお墓に変更できますか?

A. 埋葬方法により異なります:

  • 骨壺のまま安置:可能(改葬手続き必要)
  • 土に直接埋葬:困難(遺骨が土と混ざる)
  • 粉骨して散骨:不可能

契約前に改葬の可否と条件を必ず確認してください。

Q4. 樹木葬の場合、位牌や仏壇はどうすればいいですか?

A. 選択肢は3つあります:

  1. 自宅で供養を継続:従来通り仏壇で供養
  2. 永代供養に含める:寺院に位牌を預ける(別途費用)
  3. お焚き上げ:魂抜き後、処分(1~5万円)

樹木葬を選んでも、自宅での供養は自由です。心の拠り所として仏壇を残す方も多くいます。

Q5. 見学に行くと、しつこく営業されませんか?

A. 施設により異なりますが、対策があります:

  • 複数検討中」と最初に伝える
  • 家族と相談」を理由に即決を避ける
  • 連絡先は携帯電話番号のみ伝える
  • しつこい場合は消費者センターに相談

優良施設は押し売りをしません。強引な営業をする施設は避けるべきです。

Q6. 宗教は無宗教ですが、お経をあげてもらえますか?

A. 多くの施設で可能です:

  • 施設提携の僧侶が対応(宗派不問)
  • お布施は3~5万円が相場
  • 希望により神道、キリスト教式も可能な施設あり

無宗教だからこそ、自由な形式で供養できるのが樹木葬の特徴です。

Q7. 樹木葬は何人まで入れますか?

A. プランにより異なります:

  • 個人用:1名のみ
  • 夫婦用:2名まで
  • 家族用:4~6名(追加費用で増員可)
  • 合祀型:人数制限なし(1名ずつ費用)

将来の家族構成を考慮して選ぶことが重要です。

Q8. 生前に樹木葬を契約すると縁起が悪いのでは?

A. そんなことはありません。むしろ終活として推奨されています:

  • 自分の希望を実現できる
  • 家族の負担を軽減
  • 費用を計画的に準備可能
  • 相続トラブルの予防

2022年の調査では、60歳以上の35%が生前契約を検討しています。

12. 樹木葬選びの最終チェックリスト

契約前の必須確認30項目

【基本情報】 □ 運営主体の信頼性(設立年、決算書、実績) □ 宗教・宗派の条件 □ 埋葬可能人数と追加の可否 □ ペット共葬の可否 □ 改葬(お墓の引っ越し)の可否

【費用関連】 □ 総額費用の内訳明細 □ 永代供養料に含まれる内容 □ 年間管理費の有無と金額 □ 追加費用の可能性(詳細確認) □ 支払い方法(一括・分割・ローン) □ キャンセル時の返金規定

【供養内容】 □ 個別安置期間 □ 合祀までの期間と方法 □ 年忌法要の実施頻度 □ 個別法要の可否と費用 □ 遺骨の安置方法(骨壺・直接・粉骨)

【施設・設備】 □ アクセス(公共交通・車・送迎バス) □ バリアフリー対応 □ 駐車場の台数 □ 法要施設の有無 □ 休憩所・トイレの設備

【管理・運営】 □ 樹木の管理体制 □ 清掃・整備の頻度 □ 災害時の対応 □ 倒産時の引受先 □ 苦情・相談窓口

【参拝ルール】 □ 参拝可能時間 □ お供え物の可否 □ 線香・ローソクの使用可否 □ 献花の方法 □ 写真撮影の可否

まとめ:あなたに最適な樹木葬を選ぶために

樹木葬は、現代の家族形態や価値観の変化に対応した、新しい供養の形です。墓石による従来のお墓と比較して、経済的負担が軽く、継承の心配がないという大きなメリットがあります。一方で、親族の理解を得にくい、改葬が困難といったデメリットも存在します。

あなたに樹木葬をお勧めする場合

  • 継承者がいない、または継承の負担をかけたくない
  • 自然に還りたいという思いがある
  • 経済的な負担を抑えたい
  • 宗教・宗派にこだわらない

従来のお墓をお勧めする場合

  • 先祖代々の墓を大切にしたい
  • 頻繁にお墓参りをしたい
  • 個別の墓標が必要
  • 将来的に改葬の可能性がある

最後に:後悔しない選択のために

樹木葬を選ぶにあたって最も重要なのは、「なぜ樹木葬を選ぶのか」という理由を明確にすることです。費用の安さだけで選ぶと、後に「やはり普通のお墓にすればよかった」と後悔する可能性があります。

必ず複数の施設を見学し、家族とよく話し合い、契約内容を細部まで確認してください。特に、永代供養の期間、合祀の時期、追加費用の有無は、トラブルになりやすいポイントです。

大切な方との最後のお別れの場所を選ぶことは、残された家族にとっても、故人にとっても重要な決断です。本記事の情報を参考に、あなたとあなたの家族が心から納得できる選択をしていただければ幸いです。

樹木葬は「お墓」というより「自然に還る場所」です。形式にとらわれず、故人を偲び、手を合わせる気持ちこそが、最も大切な供養となることを忘れないでください。


【執筆者より】 20年以上葬儀業界に携わり、多くの方々の最期のお別れをお手伝いしてきました。樹木葬という選択肢が、故人と遺族の両方にとって心安らぐものとなることを願っています。ご不明な点があれば、信頼できる専門家にご相談されることをお勧めします。

この記事は2024年の最新情報に基づいて作成されています。制度や費用は変更される可能性がありますので、最新の情報は各施設にご確認ください。