弔事の「平服でお越しください」は何を着る?葬儀のプロが教える服装マナー完全ガイド

  1. はじめに:「平服でお越しください」で迷うあなたへ
    1. この記事で得られること
  2. 第1章:弔事における「平服」の本当の意味
    1. 【専門家の視点】平服=略礼装という真実
    2. なぜ「平服」という表現を使うのか
    3. 【注意】地域による解釈の違い
  3. 第2章:男性の平服コーディネート完全ガイド
    1. 基本となる服装要素
    2. 年代別コーディネート例
    3. 小物・アクセサリーの注意点
  4. 第3章:女性の平服コーディネート完全ガイド
    1. 基本となる服装要素
    2. 年代別コーディネート例
    3. アクセサリー・小物の詳細ルール
  5. 第4章:絶対に避けるべきNG服装リスト
    1. 【実例】私が見てきた服装の大失敗
    2. 男女共通の絶対NGアイテム
    3. 季節別の注意点
  6. 第5章:シーン別服装ガイド
    1. お別れの会・偲ぶ会
    2. 法要(四十九日、一周忌、三回忌など)
    3. 宗派別の注意点
    4. 海外の弔事マナー
  7. 第6章:緊急時の対処法と準備リスト
    1. 急な訃報への対応
    2. 事前に準備しておくべきアイテムリスト
    3. 【専門家の視点】プロが教える裏技集
  8. 第7章:よくある質問(Q&A)
    1. 服装全般について
    2. 小物・アクセサリーについて
    3. 特殊なケースについて
    4. 費用・購入について
    5. 地域性・宗教について
  9. 第8章:まとめ – あなたにぴったりの平服選び
    1. タイプ別おすすめコーディネート
    2. 最終チェックリスト
    3. 【専門家からの最後のアドバイス】
    4. 困った時の相談先

はじめに:「平服でお越しください」で迷うあなたへ

「お別れの会は平服でお越しください」 「偲ぶ会は平服で構いません」

このような案内を受けて、困惑された経験はありませんか?

「平服って普段着のこと?」 「カジュアルな服装でいいの?」 「喪服じゃダメなの?」

実は、弔事における「平服」は普段着ではありません。多くの方が誤解しているこの言葉の真の意味を知らないと、故人や遺族に対して失礼にあたる可能性があります。

この記事で得られること

  • ✅ 弔事の「平服」の正確な意味と基準が分かる
  • ✅ 男女別・年代別の具体的なコーディネート例が確認できる
  • ✅ 絶対に避けるべきNG服装が明確になる
  • ✅ シーン別(お別れの会、偲ぶ会、法要など)の適切な服装が分かる
  • ✅ 急な弔事でも慌てない服装選びのポイントが身につく

葬儀ディレクターとして20年以上、数千件の葬儀・法要に携わってきた経験から、「平服」という言葉に隠された本当の意味と、実際の現場で見てきた失敗例と成功例を交えながら、詳しく解説していきます。

第1章:弔事における「平服」の本当の意味

【専門家の視点】平服=略礼装という真実

弔事における「平服」は、「略礼装」を意味する礼儀正しい服装のことです。決して「普段着」や「カジュアルな服装」ではありません。

全日本葬祭業協同組合連合会のガイドラインでも、「平服とは略式の礼装を指し、故人への敬意を表す服装」と定義されています。

礼装の格式レベル

格式男性の服装女性の服装使用場面
正礼装モーニングコート、燕尾服ブラックフォーマル(和装含む)喪主・親族の通夜・葬儀
準礼装ブラックスーツ(礼服)ブラックフォーマル一般参列者の通夜・葬儀
略礼装(平服)ダークスーツダークカラーのスーツ・ワンピースお別れの会、偲ぶ会、三回忌以降の法要
普段着カジュアルウェアカジュアルウェア弔事では不適切

なぜ「平服」という表現を使うのか

主催者側が「平服」という表現を使う理由は主に3つあります。

  1. 参列者の負担軽減
    • 喪服を新調する必要がない
    • 仕事帰りでも参列しやすい
    • 遠方からの参列者への配慮
  2. 故人の遺志の反映
    • 「堅苦しいのは嫌い」という故人の性格
    • 「明るく送ってほしい」という希望
    • 生前の交友関係を重視した会にしたい
  3. 会の性質による使い分け
    • 宗教色を薄めた「お別れの会」
    • カジュアルな雰囲気の「偲ぶ会」
    • 時間が経過した後の「追悼会」

【注意】地域による解釈の違い

実は、「平服」の解釈には地域差があります。

地域傾向具体例
首都圏比較的柔軟ダークグレーのスーツも許容される
関西圏やや保守的黒に近い色が好まれる
地方都市保守的喪服に準じた服装が安全
農村部非常に保守的平服でも喪服着用が暗黙の了解

私が担当した葬儀で、東京から参列された方がグレーのスーツで来られたところ、地方の親族から「礼儀知らず」と陰口を言われた事例もあります。迷った時は、より格式の高い服装を選ぶのが無難です。

第2章:男性の平服コーディネート完全ガイド

基本となる服装要素

スーツの選び方

【推奨カラー】

  1. 濃紺(ダークネイビー) – 最も無難で品格がある
  2. チャコールグレー – ビジネス感と弔事のバランスが良い
  3. ダークグレー – 落ち着いた印象を与える

【絶対NGなカラー】

  • 明るいグレー
  • ブラウン系
  • ベージュ系
  • ストライプが目立つもの
  • チェック柄

シャツの選び方

基本は白無地が鉄則です。

項目推奨許容範囲NG
薄いブルー(ごく薄い場合のみ)濃い色、柄物
レギュラーカラーワイドカラーボタンダウン
素材綿100%、綿混紡光沢のある素材

ネクタイの選び方

【専門家の視点】 葬儀場で最も多い服装の失敗が、ネクタイ選びです。「地味なら何でもいい」と考える方が多いですが、実は細かなルールがあります。

推奨するネクタイ

  • 黒無地(最も安全)
  • 濃紺無地
  • ダークグレー無地
  • 極細のストライプ(遠目には無地に見える程度)

避けるべきネクタイ

  • 光沢のある素材
  • 太いストライプ
  • ドット柄(小さくてもNG)
  • ペイズリー柄
  • キャラクター柄

年代別コーディネート例

20代〜30代男性

【推奨コーディネート】
上着:濃紺のシングルスーツ
シャツ:白無地(ノーアイロンタイプでもOK)
ネクタイ:黒または濃紺の無地
靴:黒の革靴(ストレートチップ)
靴下:黒無地

ポイント:若い世代は「カジュアルに見えないか」を特に意識しましょう。スーツのサイズ感が重要です。

40代〜50代男性

【推奨コーディネート】
上着:チャコールグレーのスーツ
シャツ:白無地(上質な綿素材)
ネクタイ:ダークグレーまたは黒
靴:黒の革靴(プレーントゥ)
靴下:黒無地(薄手は避ける)

ポイント:管理職世代は品格を重視。安っぽく見えない素材選びが大切です。

60代以上男性

【推奨コーディネート】
上着:ダークグレーまたは濃紺のスーツ
シャツ:白無地(形態安定加工)
ネクタイ:黒または濃紺
靴:黒の革靴(履き慣れたもの)
靴下:黒無地(厚手)

ポイント:長時間の着用でも疲れない、着慣れた服装を選びましょう。

小物・アクセサリーの注意点

アイテムOKNG
腕時計シンプルな革ベルト、メタルバンドゴールド、派手なデザイン
ベルト黒の革製、シンプルなバックル茶色、大きなバックル
カフスシルバーの小さなものゴールド、宝石付き
ポケットチーフ白無地(控えめに)カラフルなもの
バッグ黒のビジネスバッグリュック、スポーツバッグ

第3章:女性の平服コーディネート完全ガイド

基本となる服装要素

女性の平服は男性より選択肢が多い分、迷いやすいのが特徴です。「華美にならず、地味すぎず」のバランスが重要になります。

トップスの選び方

【推奨アイテム】

  1. 黒のジャケット+インナー
    • インナーは黒、グレー、白が基本
    • 透け感のない素材を選ぶ
    • 胸元が開きすぎないデザイン
  2. アンサンブル
    • 黒、濃紺、ダークグレー
    • 七分袖〜長袖が理想
    • カーディガンとワンピースのセット
  3. ブラウス+スカート/パンツ
    • ブラウスは白、黒、グレー
    • 装飾の少ないシンプルなデザイン
    • 必ず上にジャケットを羽織る

ボトムスの選び方

タイプ推奨する長さ・形避けるべきもの
スカート膝下〜ミモレ丈、タイトかAラインミニスカート、フレアすぎるもの
パンツフルレングス、ストレートクロップド、ワイドパンツ
ワンピース膝下丈、シンプルなデザインノースリーブ単体、柄物

年代別コーディネート例

20代〜30代女性

【推奨コーディネート A:スーツスタイル】
ジャケット:黒のテーラードジャケット
インナー:白の襟付きブラウス
ボトムス:黒のタイトスカート(膝下丈)
靴:黒のパンプス(ヒール3〜5cm)
バッグ:黒の小さめハンドバッグ
ストッキング:黒または肌色

【推奨コーディネート B:ワンピーススタイル】
ワンピース:濃紺の長袖ワンピース
羽織:黒のボレロジャケット
靴:黒のパンプス
バッグ:黒のフォーマルバッグ
ストッキング:黒(薄手)

【専門家の視点】 若い世代は「老けて見えないか」を気にしますが、弔事では**「若々しさ」より「品格」**を優先すべきです。ミニスカートで参列して、年配の親族から非難された例を何度も見てきました。

40代〜50代女性

【推奨コーディネート A:アンサンブル】
アンサンブル:黒のニットアンサンブル
インナー:同素材のインナー
ボトムス:セットのスカート
靴:黒のパンプス(ヒール3〜7cm)
バッグ:黒のフォーマルバッグ
アクセサリー:パールのネックレス(一連)

【推奨コーディネート B:パンツスタイル】
ジャケット:ダークグレーのジャケット
ブラウス:黒のとろみブラウス
パンツ:同色のストレートパンツ
靴:黒のローヒールパンプス
バッグ:黒の革製ハンドバッグ

ポイント:体型カバーを意識しつつ、だらしなく見えないシルエットを選びましょう。

60代以上女性

【推奨コーディネート】
ジャケット:黒の軽い素材のジャケット
インナー:グレーの上品なカットソー
ボトムス:黒のロングスカート
靴:黒の歩きやすいパンプス(ヒール3cm以下)
バッグ:黒の持ちやすいバッグ
羽織物:黒のストール(冷房対策)

ポイント:長時間の着席を考慮し、締め付けの少ない服装を選びましょう。

アクセサリー・小物の詳細ルール

パールアクセサリーの使い方

【基本ルール】

  • ネックレス:一連のみ(二連は「不幸が重なる」の意味)
  • イヤリング/ピアス:小粒の一粒パール
  • 指輪:結婚指輪以外は外す

【パールの色】

  • 白パール:最も一般的
  • グレーパール:より格式高い印象
  • 黒パール:年配者向け

メイク・髪型のマナー

項目推奨NG
ファンデーションナチュラルな仕上がり厚塗り、ラメ入り
アイメイク控えめなブラウン系濃いアイシャドウ、つけまつげ
リップベージュ、薄いピンク真っ赤、グロス
チークごく薄く濃いチーク
ネイルクリアまたはベージュ派手な色、ネイルアート
髪型まとめ髪、落ち着いたスタイル派手な巻き髪、明るすぎる髪色

第4章:絶対に避けるべきNG服装リスト

【実例】私が見てきた服装の大失敗

20年以上の葬儀ディレクター経験の中で、実際に遭遇した服装トラブルをご紹介します。

失敗例1:「平服=普段着」と勘違い

状況:お別れの会に、ジーンズとポロシャツで参列した30代男性 結果:受付で止められ、近くの紳士服店で黒いスーツを購入することに 損失:3万円の出費と30分の遅刻

失敗例2:「地味なら大丈夫」の落とし穴

状況:偲ぶ会に、ヒョウ柄のスカーフを巻いた50代女性 結果:遺族から「非常識」と陰口を言われ、その後の親族付き合いに影響 教訓:アニマル柄は「殺生」を連想させるため絶対NG

失敗例3:「仕事着でそのまま」の誤算

状況:作業着のまま参列した40代男性 結果:他の参列者から白い目で見られ、早々に退席 対策:せめて上着だけでも黒いジャケットを用意すべきだった

男女共通の絶対NGアイテム

カテゴリーNGアイテム理由
素材革製品(靴・バッグ以外)、毛皮、ファー殺生を連想
アニマル柄、大きな花柄、チェック華美で不適切
原色、パステルカラー、白(シャツ以外)弔事にふさわしくない
光り物ラメ、スパンコール、光沢素材華美すぎる
カジュアルデニム、スウェット、スニーカー礼節に欠ける
露出ノースリーブ、ミニスカート、胸元の開いた服不謹慎

季節別の注意点

夏場の落とし穴

【よくある失敗】

  • 半袖シャツ一枚で参列 → 必ずジャケット着用
  • サンダル履き → 足の指が見える靴はNG
  • 素足 → ストッキング必須

【専門家の視点】 真夏でも、会場に入るまではジャケット着用が基本です。会場内では、状況を見て脱いでも構いませんが、焼香時は必ず着用してください。

冬場の落とし穴

【よくある失敗】

  • ダウンジャケットで参列 → カジュアルすぎる
  • ブーツ着用 → 基本的にNG(豪雪地域は例外)
  • 派手なマフラー → 黒・グレー・紺のみ

【対策】 コートは会場入り口で預けるため、中の服装が重要です。防寒着にこだわるより、式場内での服装を優先しましょう。

第5章:シーン別服装ガイド

お別れの会・偲ぶ会

お別れの会や偲ぶ会は、葬儀とは異なり、故人を偲ぶことに重点を置いた会です。宗教色が薄く、比較的自由度が高いのが特徴です。

会場別の服装選び

会場服装の目安注意点
ホテルビジネススーツレベル会場の格式に合わせる
レストランスマートカジュアル寄り店の雰囲気を事前確認
葬儀場準喪服に近い服装通常の葬儀に準じる
屋外動きやすさも考慮天候対策必須

法要(四十九日、一周忌、三回忌など)

法要の時期による服装の変化

【初七日〜四十九日】

  • 喪服または準喪服
  • 遺族は正式な喪服着用
  • 参列者も黒を基調に

【一周忌】

  • 準喪服または略礼装
  • 平服指定なら濃紺・グレーOK
  • 地域により喪服が望ましい場合も

【三回忌以降】

  • 略礼装(平服)が一般的
  • 回を重ねるごとに服装は柔らかく
  • 七回忌以降は色物も許容される地域も

宗派別の注意点

仏教系

宗派特別な注意点数珠の扱い
浄土真宗特に厳格な規定なし必須ではないが持参推奨
浄土宗黒を基調とした服装持参推奨
真言宗派手な装飾品は避ける持参推奨
曹洞宗シンプルな服装持参推奨
日蓮宗特に厳格な規定なし持参推奨

神道

  • 黒以外の地味な色も許容
  • 玉串料を包む袱紗は紫または緑
  • 数珠は不要

キリスト教

  • カトリック:比較的厳格、黒が基本
  • プロテスタント:やや柔軟、濃色なら可
  • 十字架のアクセサリーは信者のみ
  • 献花時の服装は特に注意

海外の弔事マナー

グローバル化に伴い、外国人の葬儀に参列する機会も増えています。

国・地域服装の特徴注意点
欧米黒が基本、ビジネススーツ可宗派により異なる
中国白や黄色も使用赤は絶対NG
韓国黒または白男性は黒いスーツ必須
インド白が基本(ヒンドゥー教)宗教により大きく異なる

第6章:緊急時の対処法と準備リスト

急な訃報への対応

突然の訃報は誰にでも起こり得ます。そんな時、慌てないための準備と対処法をお伝えします。

24時間以内に用意できる平服

【男性の緊急調達先】

  1. コンビニ(セブンイレブン、ファミリーマート)
    • 黒ネクタイ:1,000円前後
    • 黒靴下:500円前後
    • 白ハンカチ:500円前後
  2. 紳士服チェーン店
    • 青山、AOKI、はるやま
    • 礼服レンタル:5,000円〜
    • 即日お直し対応可能
  3. デパート
    • 高品質だが高価
    • サイズ展開豊富
    • 30分程度でお直し可能

【女性の緊急調達先】

  1. ファストファッション
    • ユニクロ:黒のジャケット・スカート
    • GU:手頃な価格で一式揃う
    • しまむら:地方でも入手しやすい
  2. スーパーの衣料品売り場
    • イオン、イトーヨーカドー
    • フォーマル売り場完備
    • 小物も同時購入可能
  3. レンタルサービス
    • 礼服レンタル:3,000円〜
    • ネットレンタル(翌日配送)
    • クリーニング不要

事前に準備しておくべきアイテムリスト

男性の必須アイテム

【最低限準備リスト】
□ 黒のネクタイ(2本)
□ 白無地のワイシャツ(2枚)
□ 黒の革靴(手入れ済み)
□ 黒の靴下(3足)
□ 黒のベルト
□ 白のハンカチ
□ 数珠(仏式の場合)
□ 袱紗(ふくさ)

【あると安心リスト】
□ 黒のサブバッグ
□ 黒の折り畳み傘
□ 予備のストッキング(同行女性用)
□ 携帯用靴磨き

女性の必須アイテム

【最低限準備リスト】
□ 黒のジャケット
□ 黒のスカートまたはパンツ
□ 黒のワンピース
□ 黒のパンプス
□ 黒のストッキング(予備含め3足)
□ 黒のバッグ(小さめ)
□ パールのアクセサリー
□ 黒か白のハンカチ
□ 袱紗

【あると安心リスト】
□ 黒のサブバッグ
□ ヌードカラーのストッキング
□ フラットシューズ(予備)
□ 黒のストール
□ メイク直し道具(控えめな色)

【専門家の視点】プロが教える裏技集

応急処置テクニック

  1. スーツがシワシワの場合
    • 浴室に吊るし、熱いシャワーを流す
    • 蒸気でシワが取れる(10分程度)
    • ドライヤーの冷風で仕上げ
  2. 靴が汚れている場合
    • ストッキングで磨くと光沢が出る
    • バナナの皮の内側でも代用可能
    • 最悪の場合、黒マジックで補修
  3. ストッキングが伝線した場合
    • 透明マニキュアで応急処置
    • ヘアスプレーでも進行を止められる
    • 予備は必ず2足持参
  4. ネクタイを忘れた場合
    • 会場近くのコンビニで購入
    • 葬儀場の売店でも販売している
    • 最悪、受付で借りられる場合も

第7章:よくある質問(Q&A)

服装全般について

Q1:「平服でお越しください」なのに、喪服を着ていったら失礼ですか?

A:失礼ではありません。むしろ、迷った時は格式の高い服装を選ぶのが安全です。実際の現場では、「平服」と案内があっても3割程度の方は喪服で参列されています。特に地方では、喪服の方が多数派になることもあります。

Q2:ビジネスカジュアルでも大丈夫ですか?

A:基本的にNGです。ビジネスカジュアルは「ノーネクタイ」「ポロシャツ」なども含むため、弔事には不適切です。最低でもスーツにネクタイ(男性)、ジャケット着用(女性)は必須と考えてください。

Q3:子供の服装はどうすればいいですか?

A

  • 制服がある場合:制服が正装です
  • 制服がない場合
    • 男児:白シャツ+黒・紺のズボン
    • 女児:白ブラウス+黒・紺のスカート
    • 幼児:地味な色の服装
  • 赤ちゃん:白やベージュでもOK

小物・アクセサリーについて

Q4:結婚指輪以外のアクセサリーは全てNGですか?

A:基本的にはNGですが、以下は許容されます:

  • パールのネックレス(一連)
  • パールのイヤリング/ピアス(一粒)
  • 眼鏡(派手でないもの)
  • 医療用アクセサリー

ダイヤモンドなど光る石がついたものは、たとえ小さくても避けましょう。

Q5:香水はつけても大丈夫ですか?

A:控えるべきです。葬儀場には線香の香りがあり、強い香水は不快感を与えます。また、体調の悪い方や高齢者には香水の匂いが負担になることもあります。どうしても使いたい場合は、ごく少量を足首につける程度に留めましょう。

特殊なケースについて

Q6:妊娠中の服装はどうすればいいですか?

A

  • マタニティ用の黒いワンピース
  • ゆったりした黒のワンピース+カーディガン
  • お腹を締め付けない黒のパンツスーツ
  • 無理せず、体調を最優先に

レンタルサービスにはマタニティ喪服もあります(3,000円〜5,000円程度)。

Q7:車椅子使用者の服装の注意点は?

A

  • 着脱しやすい前開きの服
  • 座った時にシワになりにくい素材
  • スカートは長めのものを選ぶ
  • 上半身を特にきちんと整える

移動や着席のしやすさを優先しつつ、見える部分は礼儀正しく整えることが大切です。

Q8:外国人として参列する場合の注意点は?

A

  • 日本の慣習に従うのが基本
  • 民族衣装は黒や地味な色なら可
  • 宗教上の理由での頭部覆いは許容
  • 不明な点は事前に主催者に確認

費用・購入について

Q9:平服用の服を新しく買うとしたら、予算はどのくらい?

A

性別最低限標準高品質
男性15,000円〜30,000円〜50,000円〜
女性10,000円〜25,000円〜40,000円〜

内訳例(標準的な場合)

  • スーツ/ワンピース:20,000円
  • 靴:5,000円
  • バッグ:3,000円
  • 小物類:2,000円

Q10:レンタルと購入、どちらがお得?

A:使用頻度により異なります。

レンタルがお得な場合

  • 年に1回以下の使用
  • 体型が変わりやすい
  • 保管場所がない
  • クリーニングが面倒

購入がお得な場合

  • 年に2回以上使用
  • 仕事でも着回せる
  • 急な弔事に備えたい
  • 品質にこだわりたい

地域性・宗教について

Q11:関西と関東で服装マナーに違いはありますか?

A:基本は同じですが、以下の傾向があります。

項目関東関西
色の許容度グレー系もOK黒が強く推奨
アクセサリーパール許容より控えめ
平服の解釈柔軟保守的

Q12:無宗教の場合はどうすればいい?

A:主催者の意向に従いますが、一般的な弔事マナーに準じるのが無難です。「平服」と指定があれば、本記事で紹介した略礼装で問題ありません。

第8章:まとめ – あなたにぴったりの平服選び

タイプ別おすすめコーディネート

【タイプA】初めて弔事に参列する方

特徴:マナーに自信がない、失敗したくない

おすすめ

  • 男性:黒に近い濃紺のスーツ+白シャツ+黒ネクタイ
  • 女性:黒のワンピース+黒のジャケット

理由:最も無難で、どんな場面でも失礼にあたりません。

【タイプB】仕事帰りに参列する方

特徴:着替えの時間がない、ビジネススーツで対応したい

おすすめ

  • 男性:ダークグレーのビジネススーツ+黒ネクタイ(鞄に常備)
  • 女性:黒のパンツスーツ+シンプルなインナー

理由:ネクタイや小物を変えるだけで対応可能。

【タイプC】年に数回弔事がある方

特徴:品質の良いものを長く使いたい

おすすめ

  • 上質な素材の黒いスーツ一式を購入
  • 小物も含めて専用セットを用意

理由:長期的にはコスパが良く、いざという時に慌てません。

最終チェックリスト

参列前に、以下の項目を必ず確認してください。

【出発前の10項目チェック】
□ 全体的に地味な色でまとまっているか
□ 露出の多い部分はないか
□ 光る素材・装飾はないか
□ アクセサリーは最小限か
□ 靴は磨いてあるか
□ ストッキング/靴下は黒か
□ ハンカチは白か黒か
□ 香水はつけていないか
□ 袱紗は用意したか
□ 髪型は整っているか

【専門家からの最後のアドバイス】

20年以上葬儀の現場に立ち会ってきて、最も大切だと感じるのは**「故人を偲ぶ気持ち」**です。服装はその気持ちを形にしたものに過ぎません。

しかし、その「形」を整えることで、遺族の方々に敬意を示し、故人との最後のお別れを心置きなく行うことができます。

「平服でお越しください」という言葉に込められた意味は、**「堅苦しくなく、でも礼節を持って故人を偲んでください」**というメッセージです。

完璧を求める必要はありません。ただ、最低限の礼儀として:

  1. 清潔感のある服装
  2. 地味な色合い
  3. 露出の少ないデザイン

この3点を守れば、大きな失敗はありません。

困った時の相談先

服装選びで迷った時は、以下に相談することをおすすめします。

  1. 葬儀社の担当者
    • 最も確実な情報源
    • 地域性も考慮したアドバイス
    • 電話での相談も可能
  2. 式場の受付
    • 当日の雰囲気を教えてくれる
    • 他の参列者の服装傾向も分かる
  3. 親族の年長者
    • 家のしきたりを知っている
    • 地域の慣習に詳しい
  4. フォーマル売り場の店員
    • プロの視点でアドバイス
    • 予算に応じた提案

最後に、服装で悩んだ時は**「故人だったらどう思うか」**を考えてみてください。きっと「そんなに気にしなくていいよ」と言ってくれるはずです。でも、だからこそ、きちんとした服装で送りたいと思うのが、私たちの気持ちではないでしょうか。

この記事が、大切な方との最後のお別れを、心を込めて行うためのお手伝いになれば幸いです。


【執筆者情報】 葬儀ディレクター歴20年以上。1級葬祭ディレクター資格保有。これまで3,000件以上の葬儀・法要に携わり、様々な宗派・地域の弔事マナーに精通。全国の葬儀社での研修講師も務める。