故人のマイナンバーカードはどうする?返納義務なし・相続手続きまで保管推奨——自動失効の仕組みと正しい処分方法を解説

「故人のマイナンバーカードを返納しなければいけないの?」「罰則はある?」「いつまでに返す必要がある?」——結論から言えば、法令上の返納義務はなく、むしろ相続手続きが終わるまで手元に置いておく方が便利です。この記事では、死亡届提出後の自動失効の仕組み・返納が任意である根拠・相続等の手続きで役立つ使い道・廃棄・返納する際の正しい方法を、各自治体の公式情報をもとに解説します。

この記事でわかること

  • 死亡届を提出するとマイナンバーカードはどうなるか(自動失効の仕組み)
  • 返納は義務ではない——複数の自治体公式情報に基づく正確な解説
  • 相続手続きが完了するまで手元に置いておくべき理由と具体的な使い道
  • 通知カード・個人番号通知書の扱い
  • 処分する場合の正しい方法(窓口返納・自己廃棄)と手順
  • カードが見つからない場合の対応
  • 他の死亡後手続きとの優先順位

死亡届を出すとマイナンバーカードはどうなるか

📌 最重要ポイント

死亡届が市区町村役場に受理されると、マイナンバーカードは自動的に失効(廃止)します。
住民票の消除と同時に行われる処理で、遺族が別途失効・抹消の手続きをする必要はありません。

自動失効の仕組み

マイナンバーカードは、住民基本台帳と連携しています。死亡届が受理されて住民票が消除(除票)されると、それに紐づいているマイナンバーカードも自動的に廃止となります。

この時点で以下の機能がすべて停止します:

機能 停止のタイミング
本人確認書類としての効力 死亡届受理により自動失効
マイナ保険証(健康保険証)としての利用 死亡届受理により自動失効(マイナポータル公式FAQ)
マイナポータルへのログイン 死亡届受理により自動失効
電子証明書の効力 死亡届受理により自動失効

要するに、カードの効力は死亡届の受理と同時に行政上で完全に停止されています。物理的にカードが手元に残っていても、行政サービスでは使用できません。

マイナンバー(12桁の個人番号)自体は、その方に生涯紐づく番号として永年保存されます。他人に再利用されることはありませんが、行政手続き上の使用は死亡と同時に実質停止します。

返納は義務ではない——各自治体の公式見解

📌 重要な事実確認

故人のマイナンバーカードの返納に、法令上の義務はありません。
複数の市区町村が公式ウェブサイトで明示しています。

各自治体の公式見解

自治体 公式の案内(要約)
松山市 「法令上、返納する必要はありません。相続等の手続で必要になることがあるため、しばらくの間は保管することをお勧めします。不要になったらICチップ部分にはさみを入れて破棄しても構いません。」
川崎市 「死亡された方のマイナンバーカード、通知カード、住民基本台帳カードの返却は必要ありません。諸手続きが終わるまでは保管し、不要になった段階で破棄してください。」
京都市 「公的手続以外にも故人のマイナンバーカードが必要な場合は、ご返却いただかなくても結構です。」
佐世保市 「死亡された方のマイナンバーカード、通知カードの返納は必要ありません。諸手続きが終わるまでは保管し、不要になった段階で破棄されるか、または返納を希望される場合は市役所窓口で回収します。」
世田谷区 「亡くなられた方のマイナンバーカードを返納する義務はありません。」
大田区 「亡くなられた方のカードは失効しますが、返納の義務はありません。」
相模原市 「カード所有者が死亡した場合、死亡届後にカードは自動的に廃止となるため、返納の義務はありません。相続等の諸手続きが終わるまで保管してください。」
⚠️ よくある誤情報に注意

「死亡から14日以内に返納しなければならない(努力義務)」という情報が一部に流布していますが、公式自治体の案内ではこのような期限の定めは見当たりません。また罰則もありません。相続手続きが完了するまで手元に保管することが各自治体から推奨されています。

相続手続きが完了するまで保管すべき理由

カードは失効していますが、記載されているマイナンバー(個人番号)の情報は各種手続きで参照する機会があります。相続・各種給付金の手続きが完了するまでは手元に置いておく方が便利です。

故人のマイナンバーが使われる可能性がある手続き

手続き 故人のマイナンバーの使われ方
生命保険の死亡保険金請求 保険会社によっては故人の個人番号の提出を求めることがある
相続税の申告 相続税申告書に被相続人(故人)のマイナンバーを記載する
遺族年金の手続き 故人のマイナンバーは基本不要だが、参考情報として確認することがある
準確定申告 故人の確定申告書(準確定申告)にマイナンバーを記載することがある
銀行口座の相続手続き 一部の金融機関で故人のマイナンバー確認を求めることがある
おくやみ窓口での手続き 自治体によっては故人のマイナンバーカードをカードリーダーにかざして情報を読み取り、各種申請書への記入を省略できる仕組みがある
💡 保管中のマイナンバー確認方法

カードに直接12桁のマイナンバーが記載されているため、各種手続きでマイナンバーを確認する際に参照できます。カードを保管できない場合は、住民票の除票(マイナンバー記載あり)でも確認できます。また通知カードが残っている場合はそちらでも確認可能です。

いつ処分すればよいか

相続税申告・各種保険金請求・遺族年金・準確定申告など、故人に関わる主要な手続きがすべて完了したタイミングが処分の目安です。通常は逝去から1年程度が一つの目安になりますが、相続が複雑な場合はそれ以上かかることもあります。不安な場合は担当の税理士・行政書士に確認してください。

通知カード・個人番号通知書の扱い

種類 説明 返納義務 処分方法
マイナンバーカード(ICチップ付) 顔写真付き。最も一般的なもの なし 相続等の手続き完了後に窓口返納または自己廃棄
通知カード(紙製) 2020年5月に新規発行停止。現在も所持者は多い なし(川崎市・佐世保市等が明記) 諸手続き完了後にシュレッダー等で廃棄可
個人番号通知書 通知カードの後継。紙製 なし(相模原市等が明記) 廃棄可
通知カードは2020年5月25日以降、新規発行・再発行が停止されています。ただし手元にある通知カードは引き続きマイナンバーの確認書類として使用できる(マイナンバーカード申請時を除く)ため、手続き完了まで保管しておくことが推奨されます。

処分の方法(廃棄・窓口返納)

相続等の手続きが完了し、カードが不要になった場合の処分方法は2つです。

方法①:自己廃棄(自宅で処分)

松山市など複数の自治体が「ICチップ部分にはさみを入れて破棄しても構わない」と案内しています。以下の手順で処分してください。

  1. カードのICチップ部分(表面の金色の端子部分)にはさみを入れて物理的に切断する
  2. カードを複数に切断し、個人情報(顔写真・氏名・マイナンバー)が判読できないようにする
  3. 一般ごみ(不燃ごみ等、お住まいの自治体のルールに従う)として処分する

方法②:市区町村窓口での返納

「窓口に持参して確実に処理してもらいたい」という場合は、故人の住民票があった市区町村の窓口(市民課・住民課・戸籍住民課等)に持参します。

持参するもの:

  • 故人のマイナンバーカード(または通知カード)
  • 窓口に来た方の本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード・パスポート等)
自治体によって対応が異なります。返納に対応していない自治体もあります(その場合は自己廃棄で構いません)。事前に電話で確認してから来庁するとスムーズです。また、必要書類も自治体ごとに異なる場合があるため、来庁前に各自治体のウェブサイトまたは電話で確認してください。

郵送での返納

対応可能な自治体では郵送での返納も受け付けています。対応するかどうかは自治体によって異なるため、事前に問い合わせてください。郵送する場合は書留など追跡可能な方法を選ぶことをおすすめします。

代理人による窓口手続き

遠方に住んでいる場合や来庁が困難な場合は、代理人(現地の親族等)に手続きを依頼することもできます。必要書類は自治体によって異なりますが、一般的には以下を求められることがあります:

  • 故人のマイナンバーカード
  • 代理人の本人確認書類
  • 委任状(代理人が遺族でない場合等)
代理人手続きの必要書類は自治体ごとに大きく異なります。必ず事前に担当窓口に電話で確認してから手続きしてください。

カードが見つからない場合

遺品整理をしてもマイナンバーカードが見つからない場合でも、慌てる必要はありません。

📌 カードが見つからない場合の対応
  • 死亡届が受理された時点でカードは自動的に失効しているため、紛失によるセキュリティ上の主なリスクは限定的です
  • 相続手続きでマイナンバーが必要な場合は、住民票の除票(マイナンバー記載版)を取得することで番号を確認できます
  • 心配な場合は市区町村窓口で紛失届を提出することもできます。これによりカードの記録が処理されます

マイナンバーを確認する代替手段

書類 取得方法 備考
住民票の除票(マイナンバー記載あり) 故人の住民票があった市区町村窓口で申請 手数料が必要(通常300円程度)。相続手続きで兼用できる場合あり
通知カード 手元にある場合はそのまま参照 マイナンバーが記載されている
個人番号通知書 手元にある場合はそのまま参照 マイナンバーが記載されている

他の死亡後手続きとマイナンバーカードの位置づけ

死亡後の主要手続きの優先順位

マイナンバーカードの返納は義務でないため、他の緊急性の高い手続きを優先してください。

優先度 手続き 期限の目安
最優先 死亡診断書の取得・死亡届の提出・火葬許可証の取得 7日以内(死亡診断書受領後)
高優先 健康保険・介護保険の資格喪失手続きと保険証の返却 14日以内(国保)
高優先 年金受給停止の手続き(受給していた場合) 14日以内(国民年金)
中優先 銀行口座の相続手続き・クレジットカードの解約 葬儀後なるべく早めに
中優先 相続税申告・準確定申告 相続税:10ヶ月以内/準確定申告:4ヶ月以内
低優先 マイナンバーカードの処分(窓口返納または自己廃棄) 相続等の手続きがすべて完了してから

健康保険証との違い

マイナンバーカードと混同しやすいのが健康保険証です。

書類 返納義務 タイミング
健康保険証 返納必要(各保険者へ返却) 資格喪失手続き時(14日以内が目安)
マイナンバーカード 返納義務なし 相続等の手続き完了後に処分推奨
運転免許証 返納推奨(義務ではない) 悪用防止のため早めの返納が望ましい
パスポート 返納義務なし(死亡と同時に自動失効) 相続等の手続き完了後に廃棄可
⚠️ 健康保険証は必ず返却してください

健康保険証はマイナンバーカードと異なり、各保険者(健保組合・国保・後期高齢者医療など)への返却が必要です。返却時に葬祭費・埋葬料の申請もあわせて行うとスムーズです。

よくある質問

返納しなかったら罰則がありますか?
ありません。法令上の返納義務がないため、罰則もありません。松山市・川崎市・世田谷区・大田区など複数の自治体が「返納の義務はない」と公式サイトに明記しています。
死亡後も故人のマイナンバーカードで個人情報が漏れる心配はありますか?
死亡届が受理された時点でカードは自動的に失効しているため、行政サービスへのアクセスや本人確認書類としての使用はできません。ただし、カード表面に氏名・住所・生年月日・性別・マイナンバーが印字されているため、情報流出のリスクを気にする場合は相続手続き完了後に適切に廃棄することをおすすめします。
相続税の申告書に故人のマイナンバーは必要ですか?
はい、相続税申告書(被相続人欄)には故人のマイナンバーの記載が求められます。このため、相続税申告が完了するまでマイナンバーカード(または住民票の除票)を手元に保管しておくと便利です。
窓口に返納する際、何を持っていけばよいですか?
基本的には故人のマイナンバーカードと、来庁する方の本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード等)が必要です。ただし自治体によって必要書類が異なるため、事前に電話で確認してから来庁することをおすすめします。
通知カードも一緒に返納できますか?
通知カードも返納対応している自治体では受け付けています。ただし通知カードも返納義務はなく、自宅でシュレッダー等で処分しても構いません。
マイナ保険証(マイナンバーカードに健康保険証機能を登録)の場合、保険の資格喪失手続きは別途必要ですか?
はい、別途必要です。マイナポータルの公式FAQによると「ご遺族の方等は、お勤め先または市区町村の医療保険担当窓口を通じて、死亡による資格喪失の手続きを行ってください」とされています。マイナンバーカードの失効と健康保険の資格喪失手続きは別物です。
故人が「おくやみ窓口」のある自治体に住んでいました。マイナンバーカードを窓口で活用できますか?
対応している自治体のおくやみ窓口では、故人のマイナンバーカードをカードリーダーにかざすことでICチップの基本4情報(氏名・住所・生年月日・性別)を読み取り、各種申請書への記入を省略できる仕組みがあります。その自治体の窓口に問い合わせてみてください。
住んでいた市区町村が遠くて窓口に行けません。どうすればいいですか?
返納は義務ではないので、カードを自宅で廃棄しても問題ありません。廃棄する際はICチップ部分にはさみを入れ、個人情報が判読できないよう切断して処分してください。郵送で対応している自治体であれば郵送返納も可能ですが、対応可否は事前に電話で確認が必要です。

まとめ:故人のマイナンバーカードの正しい扱い

  • 死亡届が受理された時点でマイナンバーカードは自動的に失効する。別途失効手続きは不要
  • 法令上の返納義務はない。松山市・川崎市・京都市・世田谷区・大田区・佐世保市・相模原市などが公式に返納不要と案内している
  • 相続税申告・生命保険の手続き等でマイナンバーが必要になる場合があるため、手続き完了まで手元に保管することを推奨(各自治体・行政書士の共通見解)
  • 通知カード・個人番号通知書も返納義務なし
  • 処分する場合は:①ICチップ部分にはさみを入れて自己廃棄(自治体公式の案内あり)、または②市区町村窓口で任意返納(対応していない自治体もある)
  • カードが見つからない場合も、死亡届受理で失効済みのため大きな問題はない。マイナンバーは住民票の除票でも確認できる
  • 健康保険証はマイナンバーカードと異なり返却が必要——混同しないこと
  • 他の優先手続き(年金停止・健康保険手続き等)が完了してから落ち着いて処分する