死亡後の運転免許証・健康保険証・マイナンバーカード・パスポートの返納手続き完全ガイド【葬祭費申請も解説】

この度はご逝去を悼み、心よりお悔やみ申し上げます。大切な方を亡くされ、悲しみの中で様々な手続きに追われていらっしゃることと存じます。この記事が少しでもお力になれれば幸いです。

この記事では、死亡後に返納・処理が必要な本人確認書類をすべてまとめて解説します。運転免許証だけでなく、健康保険証・マイナンバーカード・パスポート・印鑑登録証の5種類をまとめて確認できます。また、手続きのついでに申請できる葬祭費・埋葬料(最大5万円)など見落としがちな給付についても解説します。

この記事でわかること

  • 死亡後に返納・処理すべき本人確認書類5種類の手続き方法
  • 運転免許証の返納手順・必要書類・形見として残す方法
  • 健康保険証(国民健康保険・協会けんぽ・後期高齢者)の返納と資格喪失手続き
  • マイナンバーカードの死亡後の扱い(自動失効・返納の任意)
  • パスポートの返納手続きと提出先
  • 印鑑登録証の廃止手続き
  • 手続きのついでに申請できる給付(葬祭費・埋葬料)
  • 返納後に悪用される個人情報リスクと対策

5種類の本人確認書類——返納の優先順位と全体像

書類の種類 返納の要否 提出先 期限 優先度
運転免許証 義務(道路交通法107条)
ただし罰則なし
警察署・運転免許センター 速やかに(期限の定めなし) 推奨
健康保険証 義務(資格喪失届と同時) 市区町村役場・勤務先・健保組合 死亡後14日以内(国民健康保険・後期高齢者) 必須
マイナンバーカード 任意(死亡届提出で自動失効) 市区町村役場 任意(急がなくてよい) 任意
パスポート 推奨(義務ではない) 都道府県パスポートセンター 期限の定めなし 推奨
印鑑登録証 推奨(死亡届提出で自動廃止) 市区町村役場 任意 任意
💡 各種手続きで免許証・マイナンバーカードを使用してから返納するのが効率的

銀行口座の解約・生命保険の請求・相続手続きなど、各種手続きで故人の本人確認書類が必要になる場面があります。すぐに返納してしまうと手続きに支障が出る場合があります。特に運転免許証とマイナンバーカードは手続き完了後に返納するのが効率的です。健康保険証は14日以内の返納が必要なため優先して対応してください。

①運転免許証の返納手続き

🪪 運転免許証

法的根拠と現状

道路交通法第107条では「免許証の交付を受けている者が死亡した場合には、すみやかに免許証を返納しなければならない」と規定されています。死亡と同時に免許は失効しますが、遺族に罰則規定はなく、更新しなければ有効期限が来た時点で自動的に失効します。

ただし、有効期限が残っている場合は「免許更新のご案内」がその後も自宅に届き続けます。案内の停止を希望する場合は、返納手続きまたは「通知停止の申請」が必要です(東京都の場合、警視庁のウェブサイトから手続き可能)。

返納できる場所

場所 特徴
最寄りの警察署 全国各地にあり最もアクセスしやすい。交通課窓口で受け付け
運転免許センター(免許試験場) 都道府県ごとに設置。窓口が専門的で手続きがスムーズ
交番・駐在所 地域によっては対応可能。事前に電話で確認を

必要書類

書類 備考
故人の運転免許証 返納する免許証本体
死亡診断書のコピー 死亡の事実を証明するため。原本不要のケースが多いが事前確認を
故人の戸籍謄本または住民票除票 都道府県・警察署によって要否が異なるため事前確認を
申請者(遺族)の本人確認書類 運転免許証・マイナンバーカード・健康保険証等
申請者の認印 シャチハタ不可の場合あり
免許証返納届(窓口で記入) 窓口に書式が備えてある
必要書類は都道府県の警察によって多少異なります。事前に最寄りの警察署または運転免許センターに電話で確認してから持参することをお勧めします。

手続きの流れ

1
最寄りの警察署または運転免許センターに電話し、必要書類を確認する
2
窓口(交通課)で「故人が亡くなったため免許証を返納したい」と伝える
3
窓口で「免許証返納届」に必要事項を記入する
4
必要書類とともに提出して手続き完了

免許証を形見として残したい場合

✅ 穴あき処理をして返してもらえる

「免許証を形見として手元に保管したい」という場合は、窓口でその旨を伝えてください。穴あきパンチで穴を開けて無効化した状態で返却してもらえます。思い出の品として大切にすることができます。

神奈川県のマイナ免許証対応

2025年3月から「マイナ免許証(マイナンバーカードと運転免許証の一体化)」の発行が始まっています。故人がマイナ免許証を持っていた場合も、通常の免許証と同様の手続きで返納できます。神奈川県警察など各都道府県警察の公式サイトで最新の手続き方法を確認してください。

②健康保険証の返納と資格喪失手続き

🏥 健康保険証

健康保険証の返納は義務であり、資格喪失の届出と合わせて行います。加入している医療保険の種類によって提出先・期限・手続きが異なります。

医療保険の種類別 手続き一覧

種類 対象者 提出先 期限 給付
国民健康保険 自営業者・無職・フリーランス等 市区町村役場 死亡後14日以内 葬祭費(1〜7万円程度)
後期高齢者医療制度 75歳以上全員 市区町村役場 死亡後14日以内 葬祭費(約5万円)
協会けんぽ(健康保険) 中小企業の会社員 勤務先(→協会けんぽへ) 速やかに 埋葬料(5万円)
健康保険組合 大企業の会社員 勤務先(→健保組合へ) 速やかに 埋葬料(5万円以上の場合あり)
共済組合 公務員・教職員等 各共済組合 速やかに 各共済組合の規定による

①国民健康保険の手続き(死亡後14日以内)

必要書類:

  • 国民健康保険資格喪失届(市区町村役場の窓口で入手)
  • 故人の国民健康保険証(紛失の場合はその旨を伝える)
  • 届出者の本人確認書類
  • 死亡を確認できる書類(死亡診断書のコピー等)
⚠️ 世帯主が死亡した場合は世帯主変更届も必要

国民健康保険に加入している世帯主が死亡した場合、①世帯主変更届 ②資格喪失届・保険証返納の両方が必要です。世帯主が変わることで、残された家族の保険証も新しい世帯主の保険証に切り替わります。市区町村役場で「世帯主が亡くなった」と伝えれば、必要な手続きをまとめて案内してもらえます。

②後期高齢者医療制度の手続き(死亡後14日以内)

75歳以上が加入する後期高齢者医療制度は、資格喪失の手続きを市区町村役場で行います。保険証の返納と同時に、葬祭費(約5万円)の請求も忘れずに行ってください。

必要書類:

  • 後期高齢者医療資格喪失届(窓口に備え付け)
  • 故人の後期高齢者医療被保険者証
  • 届出者の本人確認書類

③協会けんぽ・健保組合の手続き

会社員が加入する協会けんぽや健康保険組合の場合、まず勤務先の総務・人事部門に連絡し、手続きを依頼します。会社側が保険者(協会けんぽ等)に対して資格喪失の届出を行います。

✅ 扶養家族がいた場合は切り替え手続きも必要

故人が加入していた健康保険の扶養に入っていた家族(配偶者・子等)は、故人の死亡後から保険の資格を失います。14日以内に国民健康保険への加入手続きを行うか、新たに誰かの扶養に入る手続きが必要です。手続きが遅れると無保険期間が生じてしまいます。

マイナ保険証への移行について

2024年12月以降、健康保険証(従来の紙・プラスチック製)は新規発行が停止され、マイナンバーカードと保険証が一体化した「マイナ保険証」に移行しています。故人がマイナ保険証を持っていた場合も、資格喪失の手続きは従来と同様に加入先の保険者(市区町村役場・勤務先等)に届け出ます。

③マイナンバーカードの扱い

🪪 マイナンバーカード

死亡届の提出で自動失効——返納は義務ではない

市区町村役場に死亡届を提出すると、住民登録・印鑑登録と同様にマイナンバーカードも自動的に失効します。そのため、返納は義務ではありません。

💡 すぐに返納しない方がよい理由

故人のマイナンバーカードは、死亡後の各種手続き(生命保険請求・年金手続き・相続手続き等)で本人情報の確認に使用する場面があります。また、一部の手続きでは故人のマイナンバーを書類に記載する必要があります。相続手続きがすべて完了するまで手元に保管しておくことをお勧めします。

返納する場合の手続き

相続手続きが完了し、返納を希望する場合は市区町村役場の窓口で手続きができます。

必要書類:

  • 故人のマイナンバーカード(または通知カード)
  • 返納届(窓口に備え付け)
  • 届出者の本人確認書類

カードが見つからない・紛失している場合は、その旨を役所に伝えれば問題ありません。死亡届の提出で既に失効しているため、紛失しても悪用されるリスクはほぼありません。

④パスポートの返納手続き

✈️ パスポート(旅券)

法的根拠と手続きの概要

旅券法第19条により、旅券名義人が死亡した場合は速やかに旅券を返納することが規定されています。ただし罰則規定はありません。

返納先

状況 返納先
国内で手続きする場合 最寄りの都道府県パスポートセンター(旅券窓口)
市区町村の旅券申請窓口 一部の市区町村でも受け付け可能(事前確認を)
海外で亡くなった場合 最寄りの日本大使館または総領事館

必要書類

  • 故人のパスポート
  • 名義人が死亡した事実が確認できる書類(戸籍謄本・抄本、埋火葬許可証の写し等)
  • 来庁者の本人確認書類
市区町村の住民記録や戸籍の記録で死亡が確認できる場合は、死亡証明書類の提出が省略できる場合があります。事前に窓口に確認してください。郵送での返納が可能なパスポートセンターもあります。

返納せずに手元に置いておいた場合

有効期限が残っているパスポートを未返納のままにしておくと、身分証明書として悪用されるリスクがあります。また、更新案内等の郵便物が届く場合があります。相続手続きが落ち着いたら返納するか、もし形見として残したい場合は穴あけ処理をすることを検討してください。

⑤印鑑登録証の廃止手続き

🔏 印鑑登録証(印鑑登録カード)

死亡届提出で自動廃止——ただし登録証は手元に残る

印鑑登録は死亡届の提出によって自動的に廃止されます。そのため、印鑑登録証(印鑑登録カード)を返納する義務は特にありません。

ただし、以下のリスクがあるため、相続手続きが完了したら処分または市区町村役場に返納することをお勧めします。

  • 印鑑登録証は「登録が廃止された証明書」と気づかないまま手続きに使われる可能性がある
  • 印鑑登録証を持っていると、故人名義の印鑑証明書が取得できると誤解されるケースがある(実際には死亡後は取得不可)

返納手続き(任意)

場所:市区町村役場の窓口(住民課・市民課等)

必要書類:印鑑登録証(印鑑登録カード)・届出者の本人確認書類

死亡届提出の際に市区町村の担当者に「印鑑登録証も返納したい」と伝えると、同時に処理してもらえる場合があります。

ついでに申請を——葬祭費・埋葬料

健康保険証の返納・資格喪失手続きのタイミングで、忘れずに葬祭費または埋葬料を申請してください。多くの方が手続きを知らないまま申請せずに終わっています。

💰 葬祭費・埋葬料の概要
保険の種類 給付の名称 金額の目安 申請先 申請期限
国民健康保険 葬祭費 1〜7万円程度(自治体により異なる) 市区町村役場 葬儀日から2年以内
後期高齢者医療制度 葬祭費 約5万円(広域連合により異なる) 市区町村役場 葬儀日から2年以内
協会けんぽ・健保組合 埋葬料 一律5万円 勤務先経由→協会けんぽ等 死亡日から2年以内
共済組合 各組合の規定による 各組合による 各共済組合 各組合の規定による

申請期限は2年と長いですが、手続きのついでに申請することをお勧めします。申請は葬儀を行った方(喪主)が行います。葬儀の領収書(申請者名義)が必要になるケースが多いため、保管しておいてください。

申請に必要な書類(標準的なケース)

書類 備考
申請書(窓口で入手または自治体サイトでダウンロード) 「葬祭費申請書」「埋葬料請求書」等
故人の保険証 返納と同時に申請する場合は一緒に持参
葬儀の領収書(申請者名義) コピー可の自治体もあり。喪主名義のものが必要
申請者の本人確認書類 運転免許証・マイナンバーカード等
申請者の振込先口座情報 通帳またはキャッシュカード
死亡を確認できる書類(自治体によっては不要) 死亡診断書・戸籍謄本等

個人情報の悪用リスクと対策

運転免許証・パスポートなど顔写真付きの身分証明書は、悪意ある第三者に渡ると深刻な被害につながることがあります。

書類の種類 悪用のリスク 対策
運転免許証 銀行口座開設・携帯電話契約・クレジットカード発行への悪用 速やかに返納。返納まで安全な場所に保管
パスポート 同上。国際的な詐欺に使用される場合も 速やかに返納またはハサミで裁断
マイナンバーカード 死亡届提出で自動失効。悪用リスクは低い 念のため役所に返納または安全な場所に保管
健康保険証 医療機関での不正使用(返納すれば使用不可) 資格喪失届と同時に返納
印鑑登録証 印鑑証明書の不正取得(死亡後は取得不可だが混乱を招く) 相続手続き完了後に役所へ返納または破棄
⚠️ 絶対にやってはいけないこと

返納・廃棄する前に、書類をそのままゴミ箱に捨てることは絶対に避けてください。返納せずに処分する場合は、個人情報が読み取れないようシュレッダーまたはハサミで裁断してから廃棄してください。特に顔写真・氏名・住所・生年月日・番号が記載された書類は丁寧に処理する必要があります。

手続きチェックリスト

確認項目 内容・優先度・補足
□ 健康保険証の資格喪失届・返納(必須) 14日以内。提出先は国保・後期高齢→市区町村役場、会社員→勤務先
□ 葬祭費または埋葬料の申請(必須) 保険証返納と同時に申請。2年の期限あり。最大5万円
□ 扶養家族の健康保険切り替え手続き(該当する場合) 故人の健保に扶養で入っていた家族は14日以内に国保等へ切り替え
□ 運転免許証の返納(推奨) 各種手続き完了後に警察署または運転免許センターへ
□ 更新案内停止の申請(運転免許) 返納しない場合でも、更新案内を止めたい場合は申請が必要
□ パスポートの返納(推奨) 有効期限がある場合は都道府県パスポートセンターへ
□ マイナンバーカードの保管・返納(任意) 相続手続き完了まで手元に保管。完了後に役所に返納または保管
□ 印鑑登録証の返納・廃棄(任意) 死亡届提出で自動廃止済み。手続き完了後に役所へ返納または裁断廃棄

よくある質問

運転免許証を返納しないとどうなりますか?
道路交通法では「すみやかに返納」と規定されていますが、遺族に対する罰則はありません。未返納でも更新をしなければ有効期限が来た時点で自動失効します。ただし有効期限内の場合は更新案内が届き続けます。案内の停止を希望する場合は、最寄りの警察署または各都道府県警察のウェブサイトから手続きしてください。
健康保険証の返納が14日以内に間に合いませんでした。どうすればいいですか?
期限を過ぎても手続きは可能です。市区町村役場または加入先に連絡し、遅れた事情を伝えた上で手続きを進めてください。葬祭費・埋葬料の申請期限は2年あるため、こちらも忘れずに申請してください。
葬祭費はいくらもらえますか?
国民健康保険の葬祭費は自治体によって異なり、1万〜7万円程度です(多くの自治体で3万〜5万円)。後期高齢者医療制度の葬祭費は広域連合によって異なりますが、概ね5万円程度です。協会けんぽの埋葬料は一律5万円です。申請は葬儀を行った方(喪主)が行います。
免許証を形見として残したいのですが大丈夫ですか?
返納の際に窓口でその旨を伝えると、穴あきパンチで穴を開けた状態で返却してもらえます。無効化された状態であれば、形見として手元に保管することに問題はありません。
マイナンバーカードはすぐに返納しないといけませんか?
返納の義務はありません。死亡届提出で自動失効しているため、悪用されるリスクはほぼありません。生命保険請求・相続手続き等の各種手続きで本人情報の確認に使用することがあるため、相続手続きが完了するまで手元に保管しておくことをお勧めします。
返納せずに免許証・パスポートを裁断処分してもいいですか?
法的に問題はありませんが、できれば返納することをお勧めします。特にパスポートは有効期限内のものを返納せずに廃棄すると、万が一拾得物になった場合に悪用されるリスクがあります。返納が難しい場合は、シュレッダーや細かい裁断で完全に個人情報が判読できない状態にしてから廃棄してください。
故人が会社員だった場合、健康保険証はどこに返せばいいですか?
まず勤務先の総務・人事部門に連絡し、保険証を返却して資格喪失の手続きを依頼します。会社が協会けんぽまたは健保組合に対して手続きを行ってくれます。埋葬料(5万円)の申請も、勤務先経由または協会けんぽに直接行います。故人が既に退職していた場合は、協会けんぽまたは加入していた健保組合に直接連絡してください。
保険証が見つかりません。返納できますか?
保険証が見つからない場合は、その旨を市区町村役場または加入先に伝えれば問題ありません。紛失の申告をした上で資格喪失の手続きを進めてもらえます。葬祭費・埋葬料の申請も保険証なしで対応してもらえる場合がほとんどです。

まとめ:本人確認書類の死亡後返納の要点

  • 最優先:健康保険証——死亡後14日以内に資格喪失届と同時に返納。葬祭費・埋葬料の申請を忘れずに(最大5万円)
  • 扶養家族がいた場合——14日以内に国民健康保険等への切り替え手続きが必要
  • 運転免許証——道路交通法で返納義務あり(罰則なし)。各種手続き完了後に警察署・運転免許センターへ。形見として残す場合は穴あき処理で返却可能
  • マイナンバーカード——死亡届提出で自動失効・返納は任意。相続手続き完了まで手元に保管推奨
  • パスポート——返納推奨(義務なし)。都道府県パスポートセンターへ
  • 印鑑登録証——死亡届で自動廃止。返納は任意
  • 各書類は各種手続きに使用してから返納するのが効率的
  • 返納・廃棄前にシュレッダーや裁断で個人情報を保護すること
  • 葬祭費・埋葬料の申請期限は2年——忘れずに申請

どうかご無理なさらないでください。手続きに行き詰まった際は、市区町村役場の「おくやみ窓口」や各担当部署に遠慮なくご相談ください。