この度は、ご愁傷様でございます。
大切なご家族を亡くされ、深い悲しみの中におられることと存じます。お心よりお悔やみ申し上げます。
故人様を偲ぶいとまもないほど、ご遺族の皆様には、葬儀の準備からその後の многочис な手続きが待ち受けています。深い悲しみの中で、慣れない手続きを前に「何から手をつければいいのか」「誰に相談すればいいのか」と、途方に暮れてしまう方も少なくありません。
この記事は、そんなご遺族の皆様の不安を少しでも和らげ、故人様と向き合う大切な時間をお過ごしいただきたいという想いから生まれました。長年にわたり大切な方とのお別れに寄り添い続けてきた私たち「TERASU by 玉泉院」が、その経験と専門的な知見を基に、家族葬の全体像から葬儀後に必要となる手続きの一つひとつまで、丁寧に解説いたします。
この記事をお読みいただくことで、「何を」「いつまでに」「どのように」進めればよいのかが明確になり、皆様が滞りなく日常に戻れるための一助となれば幸いです。
どうぞ、ご無理なさらず、ご自身のペースで読み進めてください。
第1章 家族葬とは?―後悔しないお見送りのために知っておくべきこと
最近よく耳にする「家族葬」ですが、その意味を正確にご存知の方はまだ多くないかもしれません。まずはじめに、家族葬がどのようなお見送りの形なのか、その本質と特徴について、穏やかに紐解いていきましょう。
家族葬と一般葬の違い
家族葬とは、その名の通り、ご家族やごく親しいご親族、親しかったご友人などを中心に、少人数で執り行う葬儀の形です。
一般葬との最も大きな違いは、参列者の範囲にあります。一般葬では、故人様の友人、知人、会社関係者、ご近所の方など、生前ご縁のあった方々へ広く訃報をお知らせし、多くの方にお越しいただきます。
一方、家族葬では、ご遺族が参列していただきたいと考える方にのみお声がけをします。そのため、義理の会葬などを気にすることなく、本当に親しい方々だけで、ゆっくりと故人様とのお別れの時間を過ごせるのが特徴です。
| 項目 | 家族葬 | 一般葬 |
| 参列者 | 家族、親族、ごく親しい友人など | 家族、親族、友人、会社関係者、ご近所など幅広く |
| 規模 | 小規模(数名~30名程度) | 中~大規模(30名~100名以上) |
| 特徴 | アットホームな雰囲気でゆっくりお別れができる | 社会的なお別れの儀式としての側面が強い |
| 費用 | 比較的抑えられる傾向 | 参列者の人数に応じて変動 |
| 訃報の連絡 | 参列を依頼する方と、事後報告をする方に分ける | 関係者へ広く知らせる |
家族葬のメリット・デメリット
穏やかなお別れができる家族葬ですが、もちろん良い面ばかりではありません。メリットとデメリットを正しく理解し、ご家族にとって最善の選択をすることが大切です。
メリット
- 故人様とゆっくりお別れができる何より大きな利点は、参列者への挨拶や対応に追われることなく、ご家族が故人様と向き合う時間を十分に確保できることです。思い出話を語り合ったり、静かにそばに寄り添ったりと、心ゆくまでお別れの時間を過ごせます。
- 精神的な負担が少ない多くの参列者への気遣いや対応は、悲しみの中にいるご遺族にとって大きな負担となります。参列者が限られる家族葬は、精神的な負担を大きく軽減できます。
- 費用を抑えられる傾向がある参列者の人数が少ないため、会場の規模を小さくでき、返礼品や食事(通夜振る舞い・精進落とし)にかかる費用を抑えることが可能です。ただし、プランによっては一般葬と変わらない場合もありますので、事前の確認が大切です。
デメリット
- 周囲の理解が得られない場合がある故人様とのお別れを望んでいたご友人や会社関係者の方から、「なぜ知らせてくれなかったのか」と思われてしまう可能性があります。誰にどこまでお知らせし、ご理解をいただくか、ご家族間でよく話し合う必要があります。
- 葬儀後の弔問客対応が増えることがある葬儀が終わった後で訃報を知った方々が、ご自宅へ弔問に訪れるケースが多くなることがあります。結果的に、葬儀後の対応にご負担を感じる場合も考えられます。
- 香典収入が少なくなる参列者が少ないため、いただく香典の総額も少なくなります。葬儀費用を香典で補うことを想定している場合は、資金計画に注意が必要です。
【玉泉院からのアドバイス】
家族葬を選ぶかどうかは、故人様のお人柄や生前のご意向、ご家族の関係性を考えながら、皆様が納得できる形を選ぶことが何よりも大切です。もし迷われたら、一人で抱え込まず、私たちのような専門家にご相談ください。ご家族の心に寄り添い、最適な形を一緒に考えさせていただきます。
第2章 ご逝去から葬儀後までの流れ―落ち着いて進めるための7つのステップ
悲しみの中で、次々とやるべきことが押し寄せてきます。しかし、全体の流れをあらかじめ知っておくだけで、心の準備ができ、落ち着いて対応することができます。ここでは、ご逝去から葬儀後までの一般的な流れを順を追ってご説明します。
- ご逝去・ご安置(1日目)
- 医師による死亡診断書の発行: 病院で亡くなられた場合は、担当医が発行します。ご自宅の場合は、かかりつけ医に連絡し、死亡の確認をしてもらいます。
- 葬儀社への連絡: ご安置場所(ご自宅または斎場の安置施設)を決め、搬送を依頼します。玉泉院では24時間365日、いつでもご対応いたしますので、まずはお電話ください。
- ご安置: 故人様をご指定の場所へお連れし、枕飾りなどを用意してご安置します。
- 葬儀の打ち合わせ(1日目~2日目)
- 喪主の決定: 葬儀全体を取り仕切る喪主を決めます。
- 葬儀内容の決定: 葬儀の日程、場所、形式(家族葬)、参列者の範囲、費用などを葬儀社と具体的に打ち合わせます。疑問や不安な点は、どんな些細なことでも遠慮なくご質問ください。
- ご納棺(お通夜の前)
- 故人様のお身体を清め、旅立ちの衣装(仏衣)を着せ、お化粧を施し、棺にご安置する儀式です。ご家族の手で、故人様の愛用品などを一緒に納めることもできます。
- お通夜(2日目)
- 夕刻から執り行われ、僧侶による読経の後、ご遺族、ご親族、参列者の順に焼香を行います。本来は夜通し灯りを絶やさず故人様に寄り添いますが、近年は1~2時間で閉式する「半通夜」が一般的です。
- 葬儀・告別式(3日目)
- 故人様を浄土へとお送りするための最も大切な儀式です。僧侶による読経、弔辞、焼香などが行われます。
- お別れの儀: 棺の中に生花などを手向け、故人様とのお顔を見ながら最後のお別れをします。
- 出棺・火葬・お骨上げ(3日目)
- 告別式が終わると、棺を霊柩車に乗せ、火葬場へ向かいます。
- 火葬には1~2時間ほどかかります。その間、控室で待ちます。
- 火葬後、ご遺骨を骨壷に納める「お骨上げ」を行います。
- 初七日法要・精進落とし
- 本来、初七日法要は亡くなられた日から7日目に行いますが、最近では葬儀当日に、火葬後または火葬中に行う「繰り上げ初七日法要」が主流です。
- 法要後、僧侶や参列者を労うための会食「精進落とし」の席を設けます。(家族葬では省略されることもあります)
第3章 家族葬の費用―安心していただくための内訳と相場
葬儀費用は、ご遺族にとって大きな心配事の一つかと思います。ここでは、費用の内訳やおおよソの相場、そして費用を賢く抑えるためのポイントを解説します。
費用の内訳:何にいくらかかるのか
家族葬の費用は、大きく分けて3つの要素で構成されています。
- 葬儀一式費用
- お葬式そのものを行うために必要な費用です。
- 内訳例: ご遺体搬送、ご安置、棺、骨壷、ドライアイス、枕飾り、遺影写真、式場使用料、祭壇、運営スタッフ人件費など。
- 相場: 40万円~80万円程度
- 飲食接待費
- お通夜や告別式で参列者に振る舞う食事や飲み物、返礼品にかかる費用です。
- 内訳例: 通夜振る舞い、精進落とし、返礼品(会葬御礼品、香典返し)など。
- 相場: 参列者1人あたり1万円~2万円程度
- 寺院費用(お布施)
- 僧侶に読経や戒名授与のお礼としてお渡しする費用です。
- 内訳例: 読経料、戒名料、御車代、御膳料など。
- 相場: 15万円~50万円程度(宗派や寺院との関係性、戒名の位によって大きく異なります)
これらを合計した、家族葬の費用総額の全国的な相場は、おおよそ80万円~150万円程度とされています。ただし、これはあくまで目安であり、参列者の人数や地域、葬儀の内容によって変動します。
【玉泉院からのアドバイス】
葬儀社から見積もりを取る際は、必ず「総額」でいくらかかるのかを確認しましょう。「葬儀一式費用」だけが安く提示されていても、後から飲食接待費や寺院費用が追加され、結果的に高額になるケースがあります。私たちは、ご予算やご希望を丁寧にお伺いし、内訳が明確でご納得いただけるお見積もりをご提示することをお約束します。
費用を抑えるための3つのポイント
- 参列者の人数を絞る最も費用に影響するのが参列者の人数です。飲食接待費は人数に比例して増えるため、参列者の範囲を限定することで費用を抑えられます。
- 葬儀プランを比較検討する多くの葬儀社では、必要なものがセットになった「家族葬プラン」を用意しています。複数のプランを比較し、ご自身たちの希望に合った、無駄のないプランを選びましょう。
- 公的な補助金制度を活用するお亡くなりになった方が国民健康保険や社会保険に加入していた場合、**葬祭費(埋葬料)**として自治体や健康保険組合から補助金が支給されます。金額は3万円~7万円程度です。忘れずに申請しましょう。
第4章 家族葬の準備とマナー―円滑に進めるための注意点
親しい方々だけで行う家族葬だからこそ、配慮すべき点や、事前に決めておくべきことがあります。ここでは、トラブルを避け、心穏やかなお見送りをするための準備とマナーについて解説します。
誰をどこまで呼ぶか?―参列者の範囲の決め方
家族葬で最も悩まれるのが「誰に参列をお願いするか」という点です。明確な決まりはありませんが、以下の順番で検討されるのが一般的です。
- ご家族・ご親族: 故人様の配偶者、子、親、兄弟姉妹、孫など。
- 特に親しかったご親族: 故人様と生前特に親交の深かった、おい、めい、いとこなど。
- 故人様が特に親しくしていたご友人: 故人様の遺志を尊重し、ごく数名にお声がけする場合。
大切なのは、ご家族間でよく話し合って決めることです。「あの人を呼ばなかった」という後々のトラブルを避けるためにも、独断で決めず、皆様で相談して範囲を決めましょう。
訃報の伝え方―失礼のない連絡の文例
連絡は、**「参列をお願いする方」と「葬儀後に報告する方」**に分けて行います。
①参列をお願いする方への連絡(電話が基本)
- 文例:「〇〇(続柄)の〇〇(故人名)が、かねてより病気療養中のところ、〇月〇日に永眠いたしました。つきましては、故人の遺志により、葬儀は近親者のみの家族葬にて執り行います。お通夜は〇月〇日〇時より、告別式は〇月〇日〇時より、〇〇斎場にて行いますので、ご参列いただけますようお願い申し上げます。」
②参列をご遠慮いただく方への連絡(葬儀後の報告)
会社関係やご友人などへは、葬儀を終えた後に、死亡通知状(はがき)やお電話で報告するのが一般的です。
- 文例(通知状):「(続柄)〇〇(故人名)儀かねてより病気療養中のところ 〇月〇日 〇歳にて永眠いたしました葬儀は故人の遺志により 近親者のみにて〇月〇日に滞りなく相済ませましたここに生前のご厚誼を深謝し謹んでご通知申し上げますなお 誠に勝手ながら ご香典 ご供花 ご弔問の儀は固くご辞退申し上げます」
香典・供花・弔問を辞退する場合の伝え方
家族葬では、ご遺族の意向で香典や供花、弔問を辞退されるケースが多くあります。その場合は、その旨を明確にお伝えすることが、かえって相手への配慮となります。
- 伝え方のポイント:
- 訃報連絡の際に「誠に勝手ながら、故人の遺志によりご香典、ご供花の儀は固くご辞退申し上げます」と、はっきりと言葉で伝えます。
- それでも持参された場合は、お気持ちだけ有り難く頂戴し、丁重にお断りするか、一度受け取って後日「香典返し」をお送りするのが丁寧な対応です。
家族葬の服装マナー
家族葬であっても、服装は一般葬と同様に喪服(ブラックフォーマル)を着用するのが基本です。親しい間柄だからといって、平服で参列するのはマナー違反となりますので注意しましょう。「平服で」と案内があった場合でも、黒や紺などのダークスーツやワンピースを選ぶのが無難です。
第5章 【葬儀後の手続き完全ガイド】期限内に済ませるべきことリスト
葬儀を終えても、息つく間もなく様々な手続きが必要となります。その数は50種類以上とも言われ、多岐にわたります。ここでは、膨大な手続きを「いつまでに」「何を」「どこで」行うべきか、チェックリストとカレンダー形式で分かりやすく整理しました。ご自身の状況に合わせて、印刷してご活用ください。
【手続きを進める上での心構え】
これからご紹介する手続きは数多くありますが、一度にすべてを終わらせる必要はありません。ご自身の体調を第一に、優先順位をつけて、一つひとつ着実に進めていきましょう。分からないこと、難しいと感じることがあれば、決して一人で抱え込まず、市区町村の窓口や専門家、そして私たち玉泉院にも、いつでもご相談ください。
葬儀後の手続きチェックリスト&期限別カレンダー
まずは全体像を把握するために、チェックリストと期限をまとめた表をご覧ください。
【印刷して使える】手続きチェックリスト
| 期限 | 手続きの種類 | 主な手続き内容 | 担当窓口など | チェック |
| できるだけ早く | 死亡届関連 | 死亡届の提出 | 市区町村役場 | □ |
| 死体火葬(埋葬)許可申請 | 市区町村役場 | □ | ||
| 14日以内 | 健康保険・年金 | 世帯主変更届 | 市区町村役場 | □ |
| 国民健康保険資格喪失届 | 市区町村役場 | □ | ||
| 後期高齢者医療資格喪失届 | 市区町村役場 | □ | ||
| 介護保険資格喪失届 | 市区町村役場 | □ | ||
| 年金受給権者死亡届 | 年金事務所 | □ | ||
| すみやかに | ライフライン・契約関連 | 公共料金(電気・ガス・水道)の名義変更・解約 | 各契約会社 | □ |
| 携帯電話・インターネットの解約 | 各契約会社 | □ | ||
| クレジットカードの解約 | 各カード会社 | □ | ||
| 運転免許証の返納 | 警察署 | □ | ||
| パスポートの返納 | 都道府県の窓口 | □ | ||
| 3ヶ月以内 | 相続関連 | 遺言書の有無の確認 | 公証役場、法務局 | □ |
| 相続人の調査・確定 | 戸籍謄本等で確認 | □ | ||
| 相続財産の調査・評価 | 預金通帳、不動産登記等 | □ | ||
| 相続放棄・限定承認の申述 | 家庭裁判所 | □ | ||
| 4ヶ月以内 | 税金関連 | 所得税の準確定申告 | 税務署 | □ |
| 10ヶ月以内 | 相続関連 | 遺産分割協議書の作成 | 相続人全員 | □ |
| 相続税の申告・納付 | 税務署 | □ | ||
| 2年以内 | 健康保険・年金 | 葬祭費・埋葬料の請求 | 市区町村役場、健保組合 | □ |
| 遺族年金・死亡一時金の請求 | 年金事務所 | □ | ||
| 高額療養費の請求 | 市区町村役場、健保組合 | □ | ||
| その他 | 名義変更 | 預貯金口座の名義変更・解約 | 金融機関 | □ |
| 不動産の名義変更(相続登記) | 法務局 | □ | ||
| 自動車の名義変更 | 運輸支局 | □ |
ステップ1:死亡後すぐ~14日以内に行う手続き
命に関わる重要な届け出や、保険資格に関する手続きが中心です。期限が短いものが多いので、優先的に行いましょう。
【結論】市区町村役場で「死亡届」と「火葬許可証」の手続きをします
- 手続き名: 死亡届の提出、死体火葬(埋葬)許可申請
- 期限: 死亡の事実を知った日から7日以内(国外で死亡した場合は3ヶ月以内)
- 必要なもの:
- 死亡診断書(または死体検案書)※医師から受け取る
- 届出人の印鑑
- 提出先: 故人の本籍地、死亡地、または届出人の所在地の市区町村役場
- ポイント:
- 通常、これらの手続きは葬儀社が代行してくれます。ご自身で行う必要はほとんどありませんが、知識として知っておくと安心です。
- 死亡届を提出すると、火葬・埋葬に必要な「死体火葬(埋葬)許可証」が発行されます。これは納骨の際にも必要になる大切な書類ですので、紛失しないよう保管してください。
- 死亡届を提出すると、故人の住民票は消除され、印鑑登録も自動的に廃止されます。
- 出典: 法務省「死亡届」https://www.moj.go.jp/ONLINE/FAMILY/11-5.html
【結論】健康保険や介護保険の「資格喪失届」を提出します
- 手続き名: 国民健康保険・後期高齢者医療・介護保険の資格喪失届
- 期限: 死亡日から14日以内
- 必要なもの:
- 故人の保険証、介護保険被保険者証
- 届出人の本人確認書類、印鑑
- 死亡の事実がわかる書類(死亡診断書のコピーなど)
- 提出先: 故人がお住まいだった市区町村役場の担当窓口
- ポイント:
- 保険証は資格を喪失した際に返却する必要があります。もし、資格喪失後にうっかり使用してしまうと、医療費の返還を求められることがありますのでご注意ください。
- 保険料の未納分がある場合は支払い、払い過ぎている場合は還付されます。
【結論】年金事務所で「年金受給停止」の手続きをします
- 手続き名: 年金受給権者死亡届
- 期限: 厚生年金は10日以内、国民年金は14日以内
- 必要なもの:
- 故人の年金証書
- 死亡の事実がわかる書類(戸籍抄本、死亡診断書のコピーなど)
- 提出先: 近くの年金事務所または年金相談センター
- ポイント:
- この手続きを忘れると、年金が支払われ続け、後で返還手続きが必要になるため、速やかに行いましょう。
- 日本年金機構にマイナンバーが収録されている方は、原則としてこの届出は省略できます。
- 出典: 日本年金機構「年金を受けている方が亡くなったとき」https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/kyotsu/jukyu/20140707-01.html
ステップ2:各種契約の名義変更・解約手続き
ライフラインや金融機関など、故人が契約していたサービスの解約や名義変更を進めます。
【結論】電気・ガス・水道などのライフラインの連絡先に電話します
- 手続き: 公共料金(電気・ガス・水道)、電話、インターネット、NHKなどの名義変更または解約
- 期限: 特に決まっていませんが、すみやかに行うのが望ましいです。
- 連絡先: 各契約会社のコールセンター
- ポイント:
- 契約者名義やお客様番号がわかる検針票や請求書を手元に用意して連絡するとスムーズです。
- ご家族が引き続きその住居にお住まいになる場合は「名義変更」、空き家になる場合は「解約」の手続きとなります。
- 解約を忘れると、使用していなくても基本料金がかかり続けるため、ご注意ください。
【結論】クレジットカードや携帯電話会社に連絡し、解約します
- 手続き: クレジットカード、携帯電話、各種会員サービスなどの解約
- 期限: すみやかに
- 連絡先: 各契約会社のコールセンター
- ポイント:
- クレジットカードは不正利用を防ぐためにも、早めに解約手続きをしましょう。年会費の引き落としなども止まります。
- 故人の遺品を整理する中で、どのようなサービスを契約していたか、郵便物やメールなどを確認しましょう。
ステップ3:相続に関する手続き(3ヶ月~10ヶ月以内)
相続は、ご遺族にとって最も重要かつ複雑な手続きの一つです。期限が設けられているものもあるため、計画的に進める必要があります。
【結論】まず「遺言書」があるかどうかを確認します
- 手続き: 遺言書の捜索と検認
- 期限: すみやかに
- 確認場所: 自宅の金庫や仏壇、貸金庫、付き合いのあった信託銀行や弁護士、公証役場など
- ポイント:
- 自筆証書遺言(故人が自分で書いた遺言書)を見つけた場合、勝手に開封してはいけません。家庭裁判所で「検認」という手続きを経る必要があります。
- 公正証書遺言の場合は、検認は不要です。
- 遺言書の有無によって、その後の遺産分割の方法が大きく変わります。
【結論】相続する権利を放棄する場合は3ヶ月以内に家庭裁判所へ
- 手続き: 相続放棄または限定承認の申述
- 期限: 自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内
- 提出先: 故人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所
- ポイント:
- 故人に借金などマイナスの財産が多い場合、「相続放棄」をすることで、財産を一切相続しないことができます。
- この3ヶ月という期間は非常に重要です。何もしないでいると、自動的にすべての財産(借金も含む)を相続する「単純承認」をしたとみなされます。
- 財産の全容がわからず判断できない場合は、期間を延長する申し立ても可能です。
- 出典: 裁判所「相続の放棄の申述」https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_13/index.html
【結論】故人の所得税の申告を4ヶ月以内に行います
- 手続き: 所得税の準確定申告
- 期限: 相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内
- 提出先: 故人の最後の住所地を管轄する税務署
- ポイント:
- 準確定申告とは、故人が亡くなったその年の1月1日から死亡日までの所得を計算し、申告・納税する手続きです。
- 故人が生前、個人事業主だった場合や、給与所得以外に20万円を超える所得があった場合などに必要となります。
- 医療費控除などを申告することで、税金が還付されるケースもあります。
- 出典: 国税庁「No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2022.htm
【結論】相続税の申告と納付は10ヶ月以内に済ませます
- 手続き: 相続税の申告と納付
- 期限: 相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内
- 提出先: 故人の最後の住所地を管轄する税務署
- ポイント:
- 相続税は、すべての相続にかかるわけではありません。遺産の総額が「基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)」を超える場合に申告が必要です。
- 申告が必要な場合は、相続人全員で遺産の分け方を話し合う「遺産分割協議」を行い、その内容をまとめた「遺産分割協議書」を作成する必要があります。
- 相続税の計算は非常に複雑ですので、税理士などの専門家に相談することをお勧めします。
- 出典: 国税庁「No.4102 相続税がかかる場合」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4102.htm
ステップ4:期限が比較的長い、または期限のない手続き
期限に少し余裕がありますが、忘れると受け取れるはずのお金が受け取れなくなるものもありますので、計画的に進めましょう。
【結論】葬儀費用の補助金(葬祭費・埋葬料)を2年以内に請求します
- 手続き: 葬祭費(国民健康保険・後期高齢者医療)または埋葬料(社会保険)の請求
- 期限: 葬儀を行った日の翌日から2年以内
- 提出先:
- 葬祭費: 故人がお住まいだった市区町村役場
- 埋葬料: 故人の勤務先の健康保険組合や協会けんぽ
- ポイント:
- 葬儀を執り行った方(喪主)に、3万円~7万円程度が支給される制度です。自動的に支払われるものではなく、申請が必要です。
- 申請には、葬儀費用の領収書などが必要となります。
【結論】ご遺族の生活のために遺族年金を請求します
- 手続き: 遺族年金(遺族基礎年金・遺族厚生年金)、死亡一時金などの請求
- 期限: 請求権が発生してから5年以内
- 提出先: 年金事務所または年金相談センター
- ポイント:
- 遺族年金は、亡くなった方によって生計を維持されていたご遺族の生活を支えるための大切な制度です。
- 受給には、故人の年金加入状況や、ご遺族の年齢など、細かな要件があります。ご自身が対象となるか、まずは年金事務所に相談してみましょう。
【結論】金融機関や法務局で名義変更手続きを行います
- 手続き: 預貯金、不動産、自動車、株式などの名義変更
- 期限: 特に定めはありませんが、速やかに行うのが望ましいです。
- 提出先:
- 預貯金: 各金融機関
- 不動産: 管轄の法務局(相続登記)
- 自動車: 管轄の運輸支局
- ポイント:
- 故人名義の預貯金口座は、死亡の事実を金融機関が知った時点で凍結され、入出金ができなくなります。
- 相続人全員の同意と戸籍謄本などの書類を揃えなければ、払い戻しや名義変更はできません。
- 不動産の相続登記は、以前は義務ではありませんでしたが、法改正により2024年4月1日から義務化されました。手続きが複雑なため、司法書士に依頼するのが一般的です。
おわりに
ここまで、家族葬の基本から葬儀後の複雑な手続きまで、順を追って解説してまいりました。
改めて、大切なご家族を亡くされたご遺族の皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
悲しみが癒えるには、長い時間が必要かもしれません。どうかご自身を責めたり、一人で抱え込んだりなさらないでください。
今回ご紹介した手続きは、故人様がこの世に生きてこられた証を、ご遺族の皆様が社会的に引き継いでいくための大切な儀式でもあります。しかし、それは決してご遺族に過度な負担を強いるものであってはなりません。
もし、手続きの途中で道に迷われたり、心の整理がつかなくなったりしたときには、いつでも私たち「TERASU by 玉泉院」のことを思い出してください。私たちは、ただ葬儀を執り行うだけでなく、その後の手続きや心のケアも含めて、ご遺族の皆様が再び穏やかな日常を取り戻せるまで、永続的に寄り添い、サポートし続ける存在でありたいと願っています。
皆様の悲しみが、少しでも和らぐ日が来ることを心よりお祈り申し上げます。
