忌引き休暇とは【続柄別日数一覧】有給か無給か・パート適用・土日の扱い・申請文例・日数不足時の対応まで完全解説

「忌引き休暇は何日取れるのか?」「パートやアルバイトでも使えるか?」「有給か無給か?」「土日と重なったら?」「日数が足りないときはどうすれば?」——この記事では、忌引き休暇(慶弔休暇)について続柄別の日数一覧・給与の扱い・申請方法・同一労働同一賃金との関係・日数不足時の対応まで実用的に解説します。

この記事でわかること

  • 忌引き休暇は法律上の義務ではない——ただし就業規則で設けた場合は拘束力あり
  • 続柄別の日数相場(配偶者・親・祖父母・兄弟・孫・義理の親族)
  • 有給か無給か——会社によって異なる理由と確認方法
  • 土日・祝日と重なった場合の扱い
  • パート・アルバイト・派遣への適用(同一労働同一賃金との関係)
  • 申請の手順と会社への連絡文例
  • 必要書類(死亡診断書・会葬礼状等)
  • 日数が足りない場合の選択肢
  • 忌引き休暇のよくある疑問

忌引き休暇の法的位置づけ

⚠️ 忌引き休暇は労働基準法で義務付けられていない

忌引き休暇(慶弔休暇)は労働基準法で定められた制度ではありません。法律で義務付けられているのは年次有給休暇・産前産後休業・育児休業・介護休業・生理休暇です。忌引き休暇は企業が就業規則で任意に設ける「法定外休暇」に分類されます。

ただし、就業規則に忌引き休暇を設けた場合は、労働基準法第89条により労働基準監督署への届出と従業員への周知が義務付けられ、就業規則の内容は労働条件の一部として拘束力を持ちます。会社が就業規則に定めた以上、従業員には取得する権利があります。

厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」によると、忌引き休暇(慶弔休暇)を設けている企業は従業員規模にかかわらず9割程度に達しており、事実上の社会的慣行として定着しています。

💡 まず就業規則を確認する

忌引き休暇のルール(日数・有給か無給か・対象親族の範囲・必要書類)は会社によって異なります。まず自社の就業規則を確認してください。労働基準法第106条により、従業員はいつでも就業規則を閲覧する権利があります。就業規則が見当たらない場合は人事・総務部門に確認を。

続柄別・日数の目安一覧

忌引き休暇の日数は会社が自由に定めることができますが、以下が一般的な相場です。

続柄(親等) 一般的な日数目安 補足
配偶者(0親等) 5〜10日 最も日数が多い。10日が標準的
実父母(1親等) 3〜7日 5日前後が多い
子ども(1親等) 3〜7日 配偶者に準じた日数が多い
義父母(1親等・姻族) 3〜5日 実父母より短い場合がある
祖父母(2親等) 1〜3日 本人側の祖父母は3日、配偶者側は1〜2日が多い
兄弟・姉妹(2親等) 1〜3日 本人側3日、配偶者側1日が多い
孫(2親等) 1〜3日 1日のケースも多い
叔父・叔母(3親等) 0〜1日 対象外の企業も多い。設けている場合は1日
甥・姪(3親等) 0〜1日 対象外の企業が大半
上記はあくまで目安です。同じ「祖父母」でも「本人の祖父母:3日、配偶者の祖父母:1日」のように区別して定める企業が多いです。自社の就業規則の記載を必ず確認してください。

「義理の親族」はどう扱われるか

配偶者の父母(義父・義母)の扱いは会社によって大きく異なります。就業規則に「父母」とだけ記載されている場合、義父母が含まれるか否かが曖昧になりがちです。

就業規則の記載 義父母の扱い
「父母」とのみ記載 実父母のみで、義父母は対象外と解釈される場合がある
「父母(義父母を含む)」と記載 明確に対象となる
「1親等の血族・姻族」と記載 義父母(姻族1親等)も対象となる

曖昧な場合は事前に人事・総務部門に確認しておくことをお勧めします。

有給か無給か

給与の扱いは会社の規定次第

忌引き休暇中の給与支給は法律で定められていないため、会社の就業規則によって異なります。

パターン 内容 多い企業規模
有給扱い(全額支給) 忌引き休暇中も通常の給与を100%支給 大企業・中堅企業に多い
有給扱い(一部支給) 基本給の60〜80%を支給 中小企業に見られる
無給扱い 忌引き休暇中は給与なし 中小・小規模企業の一部
年次有給休暇を充当 忌引き休暇制度がなく有給休暇で対応 忌引き制度のない企業
💡 忌引き休暇が無給の場合は年次有給休暇の併用を検討

忌引き休暇が無給の場合、年次有給休暇(有給)を合わせて申請することは可能です。例えば「忌引き休暇2日(無給)+有給休暇2日」のように組み合わせる形で、経済的な影響を軽減できます。ただし両方の申請について就業規則の確認が必要です。

土日・祝日と重なった場合

忌引き休暇が土日・祝日と重なった場合の扱いは、就業規則の書き方によって異なります。

就業規則の記載 土日・祝日の扱い
「連続〇日」と記載 土日・祝日を含めて数える 木曜死亡→木金土日の4日間を「4日」と数える(3日の場合は木金土)
「〇日間(所定労働日)」と記載 土日・祝日は含めず、出勤日のみを数える 木曜死亡→木金(土日除く)月の3日間で「3日の所定労働日」
記載が曖昧な場合 会社の運用方針による。人事に確認が必要
土日・祝日が含まれるかどうかは会社によって異なります。実際に忌引き取得前に、人事・総務部門に「いつからいつまでが忌引きの対象日になりますか」と具体的に確認しておくと安心です。

パート・アルバイト・派遣の場合

同一労働同一賃金との関係

2020年に施行されたパートタイム・有期雇用労働法および改正労働者派遣法により、正社員と非正規社員の間で「合理的な理由のない待遇差」が禁止されています。忌引き休暇(慶弔休暇)も「その他の休暇」として均等・均衡待遇の対象です。

⚠️ 正社員だけに忌引き休暇を与え、パートには与えない——は問題になる可能性がある

正社員にのみ忌引き休暇を設け、パートタイムや有期雇用には付与しない場合、その「格差に合理的な理由がない」と判断されれば法律違反になる可能性があります。不合理な格差と判断された場合は会社に是正を求めることができます。

パート・アルバイトが忌引きを申請する場合の注意点

確認事項 内容
就業規則の適用範囲 パート・アルバイト向けの就業規則(正社員と別に設けている場合がある)で忌引き休暇の規定を確認する
給与の扱い 時間給者の場合、有給忌引きであれば「平均賃金」または「時間給×予定労働時間」が支給されることが多い
正社員との差 日数・給与の扱いで正社員より不利な条件なら、合理的な理由があるかどうかを確認。不合理な差であれば会社に問い合わせる

申請の手順と連絡文例

申請の流れ

1
まず上司または人事・総務部門に電話で第一報を入れる
訃報を受けたらできるだけ早く(遅くとも翌出勤日の朝一番までに)連絡する。メールより電話が望ましい。用件は簡潔に:「(続柄)が(日時)に亡くなりました。○日間の忌引き休暇を取得したいと思います」
2
取得日数・期間を伝える
就業規則で確認した日数をもとに「○月○日〜○日(○日間)の忌引き休暇を申請します」と明確に伝える。不明点があれば「確認してからご連絡します」で構わない
3
業務の引き継ぎを行う
急な不在により迷惑をかける場合は、急ぎの案件や重要な連絡先を同僚・上司に引き継ぐ。返信が必要なメールの代理対応など最小限の引き継ぎを行う
4
復帰後に正式書類を提出する
所定の忌引き申請書を提出し、必要書類(会葬礼状・死亡診断書の写し等)を添付する。緊急時は口頭・電話での第一報でよく、書類は復帰後の提出で問題ない場合が多い

上司への連絡文例(電話・メール)

電話・口頭での伝え方(例)

「○○部長、○○です。本日連絡させていただきましたのは、昨晩(本日)、(実父・母)が亡くなりましたことをお伝えするためです。誠に急なことで大変申し訳ございませんが、○月○日から○日間、忌引き休暇を取得させていただけますでしょうか。急ぎの案件については○○さんに引き継ぎますので、ご了承いただければ幸いです。」

メールでの伝え方(例)

件名:忌引き休暇のご連絡

○○部長、○○です。

突然のご連絡で大変恐縮ですが、○月○日に(実父・母)が永眠いたしました。つきましては、下記の期間、忌引き休暇をいただきたく、ご連絡申し上げます。

【忌引き休暇期間】○月○日(○)〜○月○日(○)(○日間)
【葬儀の予定】○月○日 通夜・○月○日 告別式(○○県○○市)

急な不在により大変ご迷惑をおかけしますが、担当業務については○○さんに引き継ぎを依頼いたします。詳細は後ほどご連絡いたします。

何卒よろしくお願いいたします。

必要書類

書類名 取得先 注意点
会葬礼状 葬儀社(葬儀当日に参列者に配布) 最も一般的な証明書類。なくした場合は葬儀社に再発行を依頼
死亡診断書の写し 病院・医師(原本は各種手続きで必要) 原本はコピーを複数枚用意しておく。再発行は3,000〜5,000円程度
火葬許可証の写し 火葬後に火葬場から返還されるもの 火葬を証明する書類
新聞の訃報・おくやみ欄の切り抜き 地方紙・全国紙 社会的地位のある故人の場合に有効な代替書類になる場合がある
書類の提出が求められる場合でも、葬儀直後の多忙な時期に全て揃えることが難しい場合があります。会社への第一報時点では「書類は復帰後に提出します」と伝えておき、復帰後にまとめて提出するのが現実的です。

日数が足りない場合の対応

遠方の葬儀・移動に時間がかかる・喪主として手続きが多い——などの理由で忌引き休暇の規定日数では足りないケースがあります。

選択肢 内容 注意点
年次有給休暇の取得 忌引き休暇に続けて有給休暇を申請する 有給休暇は労働者の権利として原則取得できる(時季変更権の例外あり)
特別休暇の交渉 会社の裁量で追加日数を認めてもらう 就業規則の規定外になるため会社の判断次第
欠勤扱い(無給) 規定日数を超えた日を無給で休む 賞与や出勤率に影響する場合がある
💡 まず上司・人事に状況を正直に伝えて相談する

「遠方で移動に丸1日かかります」「喪主を務めるため役所の手続きが複数あります」など、具体的な事情を伝えると、会社が柔軟に対応してくれる場合があります。最初から「日数が足りないので有給を使います」と一方的に通告するより、事情を説明して相談するアプローチが円滑です。

忌引き休暇取得で不利益を受けた場合

忌引き休暇の取得を理由とした人事評価の減点・昇進への影響・嫌がらせ的な言動は、パワーハラスメント防止法(労働施策総合推進法第30条の2)や信義則に反する可能性があります。不当な扱いを受けた場合は以下の窓口に相談できます。

相談先 内容 費用
労働基準監督署 就業規則の不当な運用・ハラスメント 無料
都道府県労働局(総合労働相談コーナー) 個別労働紛争の相談・あっせん 無料
労働組合(ある場合) 組合を通じた交渉サポート 組合費内

よくある質問

忌引き休暇は何日前から取れますか?いつから数え始めますか?
多くの会社では「死亡した日(または翌日)から取得開始」と定めています。死亡日当日から通夜・葬儀・後片付けを含む日数として数えるのが一般的です。葬儀の日程に合わせて取得開始日をずらせるかどうかは、就業規則の記載と会社の対応によります。不明な場合は人事部門に確認してください。
忌引き休暇中に給与(賞与・手当)に影響はありますか?
有給扱いの忌引き休暇であれば、基本的に給与・賞与への影響はありません。ただし「完全出勤手当」「皆勤手当」は出勤日数をもとに計算されるため、忌引き休暇の期間が影響する場合があります。就業規則の「皆勤・精勤手当の条件」の欄を確認してください。
祖父母が亡くなりました。忌引きは取れますか?
多くの会社で祖父母(2親等)の忌引き休暇が設けられています。日数は「本人の祖父母:3日、配偶者の祖父母:1〜2日」が相場です。ただし就業規則の内容によって異なるため確認が必要です。会社の制度で3親等(叔父叔母・甥姪)以降は対象外の場合が多い点も覚えておいてください。
パート・アルバイトでも忌引き休暇は取れますか?
会社の就業規則に忌引き休暇が定められていれば取得できます。正社員と全く同じ日数・条件でなくても、合理的な範囲内の差であれば問題ありませんが、「パートだから一切対象外」という扱いは同一労働同一賃金の観点から問題になる可能性があります。会社のパート向け就業規則を確認し、不当な格差を感じたら人事部門に相談してください。
会社に忌引き休暇制度がありません。どうすればよいですか?
忌引き休暇制度がない場合、年次有給休暇を利用するのが一般的です。有給休暇は労働者の権利として原則拒否できません(時季変更権の例外はありますが、突発的な葬儀への適用は難しい)。まず上司や人事部門に「忌引きのための有給取得」として申請してください。
忌引き休暇の書類を忘れた・紛失しました。
会葬礼状は葬儀社に依頼すれば再発行してもらえる場合があります。死亡診断書の原本を使用している場合は写しを別途用意しておくのが理想です。紛失した場合は発行医師・病院に再発行を依頼(手数料3,000〜5,000円程度)するか、市区町村役場で「死亡届記載事項証明書」を取得することで代替できます。
上司から「忌引きでなく有給を使え」と言われました。従わなければなりませんか?
会社の就業規則に忌引き休暇が定められているにもかかわらず「有給を使え」と強要することは不当です。就業規則は労働条件の一部であり、使用者側が一方的に変更・無視することはできません。就業規則を確認した上で「就業規則○条に基づき忌引き休暇を申請します」と伝えてください。それでも応じない場合は、労働基準監督署や都道府県労働局に相談できます。
忌引き休暇と有給休暇は同時に使えますか?
使える場合があります。たとえば「忌引き3日+有給2日」のように、忌引き日数が足りない場合に残りを有給で補うことは多くの会社で認められています。ただし「忌引きと有給の同日併用(同じ日に両方申請)」は一般的に認められません。まず人事・総務部門に「忌引きの後に続けて有給を使えますか」と確認してください。

まとめ:忌引き休暇の要点

  • 忌引き休暇は法律上の義務ではないが、就業規則に定めた場合は拘束力を持つ——まず就業規則を確認する
  • 日数の相場:配偶者5〜10日、実父母3〜7日、義父母3〜5日、祖父母・兄弟1〜3日、叔父叔母0〜1日
  • 有給か無給かは会社の規定次第。無給の場合は年次有給休暇との併用が可能
  • 土日・祝日との重複は就業規則の「連続○日」か「所定労働日○日」かで扱いが変わる——事前に人事部門に確認
  • パート・アルバイトへの不合理な格差は同一労働同一賃金の指針に抵触する可能性がある
  • 申請は電話で上司に第一報→復帰後に書類提出の流れが現実的
  • 日数が足りない場合は有給休暇の追加取得・特別休暇の交渉が選択肢
  • 不当な扱い(忌引きを理由とした評価減・ハラスメント)は労働基準監督署・労働局に相談できる